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 新月で月明かりはなかったが、街灯と店の灯りを頼りに二人はジャンジャン横丁を進んだ。酔いのある身体に、少し冷たくなった夜風が心地よかった。

「次は…俺が払うからな」

「変わらんな、お前は…。いつもそうだ」

 保が小さく笑い、中林も釣られた。思ったより安かったから、保の気分はよかった。

 中林と別れてマンションへ帰宅すると、日付が変わる寸前だった。午前様にはならずに済んだか…と思いながら保はドアを開けた。沙耶は自分の部屋にいるようで、シーンと静まり返っていた。玄関で靴を脱いだ途端、俄かに睡魔が襲ってきて、保はその場で深い眠りに落ちていった。

 気づいて腕を見ると、早暁の5時過ぎだった。季節の移ろいで、日の出にはまだ少しあるのか、辺りは薄暗い。保は慌ただしく自室へ引き上げた。幸い、沙耶が起動する6時にはなっていなかったから、ほっと胸を撫で下ろした。6時00分00秒になれば、何があろうと瞬時に起動するシステムが組まれているからだ。部屋には入ったが、すっかり眠気は遠退いている。保は部屋を出て浴室のシャワーを使った。じめついた身体が、さっぱりして気分よくなった。そのうち沙耶も起動するだろう…と思いながら、冷蔵庫のミルクを飲む。短時間しか眠っていないはずなのだが、保はなぜか身体が軽く感じられた。

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