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シャワーの気分がよくてウツラウツラ、またひと眠りしたのだろう。保は肩を指先で軽く突かれ、目覚めた。台所のテーブル椅子で前倒しになり眠ったようだ。振り返ると、沙耶が立っていた。 『やっぱり、戻らなかったわね。私は残業しないからね。時間になったら停止します!』
「そんな強調しなくったっていいだろ。つい、話が弾んでさぁ」
『そんなに怒ってません! って、保が、怒らないようにプログラムしたんでしょ。怒りたくたって怒れないわ。まあ、これでしょうね』
沙耶は頬をプクリと膨らませた。確かに感情の抑制システムが作動するようにはプログラムしたな…と、保は思った。
「そりゃそうだろうけどさぁー。俺だって沙耶と喧嘩したくないしな」
『私、不満はないのよ。普通の女性ならって思っただけ』
そう言うと、沙耶は少し笑った。微笑んだり、泣いたり、笑ったり、時には拗ねたりする表情システムが作動していた。保はその表情を追う。最終試験の開始である。いつからこれを始めようかと考えていたのだが、この瞬間からにした。ただ、それだけのことなのだ。しかし、最終試験の詳細項目は一応、作ってはいた。その①は、極端な違和感が一日を通して生じないことが大前提となる。②は、同様に一日を通して故障が生じないこと。③として、突発的な想定外のアクシデントに冷静に対応できるか、である。この大まかな三点がすべて満たされれば合格ラインに達したと保は認めることにしていた。




