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「保護者?! どういうことだ。その年で親子でもあるめぇ~」
絡んでくるその男に、保は、トラブルを避けるには長居は無用と判断し、沙耶の肩を押すと歩きだした。当然、沙耶も続いた。
「なんだ! 無視かっ!」
なおも、その男は絡み口調で後ろから声を投げかけた。そのとき突然、沙耶が止まり、振り返った。 『あの…、先ほどから興奮されてますが、あなた、どちらさま?』
シカトしている風でもなく、沙耶の顔はマジだった。実は沙耶の記憶回路の前回分は、修正時にリセットされていたのだ。
男は小馬鹿にされたと思ったのか、チッ! と舌打ちすると反対方向へと去っていった。保としては、やれやれである。地下階段を登りきると、ホッと溜息が洩れた。保の後方を息も切らさず規則的な一定リズムで登った沙耶は、まったく何事もなったかのようで息も乱れていない。それは当然で、沙耶の呼吸機能は人工的なアンドロイドであることを隠すための形だけのもので、生物の呼吸機能ではなかったからだ。保はその沙耶を見て、ここも組み換えか…とは思えたが、まっ! いいか…と、思い返した。スポーツ選手とか心臓がタフな体育会系の人間なら、そういう者もいるか・・と思えたからである。
モンタナに入る頃には雨も小降りになっていた。保は傘を閉じながら、沙耶の動きを観察した。仮免の郊外試験は続いていたのだ。




