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遁ズラを決め込むにはタイミングというものがある。沙耶と三井の場合は、もちろん遁ズラと呼ぶほど悪質なものではなく、訳あって世間・・といっても保や長左衛門、それに里彩の三人(研究室の三人、親友の中林、大学同僚の山郷、マンション管理人の藤崎、保の兄の勝夫婦、大学新館ガードマンの矢車を含めれば12人)なのだが、その二人から隠遁する…という良質のものだ。それにしろ、保や長左衛門のショックは量り得ない訳で、それ相応の理由づける書面等を残しておく必要があった。三井の場合は長左衛門に、あの恩知らずが…と言わせない見返りが求められた。保に対してはそこまでの配慮は必要としなかったが、やはり、何のため行方を晦ますのかの説明と消えた後の生活のマニュアルを知らせておかねばならなかった。沙耶も三井も、飛行車が大磯に移動する今週末までに行程を組んでおくとなると、そう残された時間はなかった。沙耶は、いっそ次の機会に先延ばしし、大磯からの逃避案は回避しようとも思った。だが三井は、この機会を逃しては・・と反対し、結果として諸事情を排除しても決行する、ということで実行計画を進めることになった。

 次の日、山盛研究室では飛行車の梱包作業が教授を含む四人で進められていた。飛行車自体は軽量であり、パーツを5ブロックに分け、それぞれが梱包された。運送会社にはすでに連絡積みで、教授の友人の別荘へ運送してもらう手筈は、すでにつけられていた。

「君達! それでいいから、一つづつ外へ出しておいてくれ。もうすぐ荷を取りに来るだろうから…」

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