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『それも、廃棄されスクラップ直前のをね。車庫証明とか保険がかかると、保や長左衛門にバレるわよ』
『あっ! そうでした。私、そこまで考えておりませんでした。すみません、以後は留意いたします』
『謝ることはないわよ。まあとにかく、その辺りまで済ませておいて。移住は今の所から離れた場所がいいわね。飛行車でそこまで、ひとっ飛び! 保や研究室の連中には悪いけど、どちらにしろマスコミ隠しのシロモノだから、大騒ぎにはならないと思うわ』
『なるほど…。では、準備万端は私が一つずつ片づけておくことにします』
『よろしくね。さて、次の連絡だけど…、保の飛行実験が来週末に終わったら、するわ』
『となると、来週の木曜も正午ですね?』
『ええ…。それじゃ、これで帰るわ。』
この前のように、沙耶の姿は言い終えるのと同時に長左衛門の離れから消え去っていた。
それから数日が経ち、三井は律儀に沙耶との約束を一つずつ熟していた。緻密さに関しては人間の比ではなく多少、沙耶のメカには劣る三井だったが、ほぼ完璧なまでの準備を周到に整えていった。沙耶の方は、自分が消えた後、保が困らないよう家事全般の整理とマニュアル作りを保に分からないよう秘密裏に行っていた。保が戸惑わずすぐ対応できる詳細マニュアルである。それをバイナリファイルでプログラムし、アスキーファイルのパソコンソフトとして組み込んだのである。むろん、自分の音声と映像入りだ。




