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この小判鮫、いらんことを言う…と保は思ったが、口には出さず我慢した。
「そうだね。設計は岸田君が中心だったし、馴れもあるからなあ。一番、安全だろう…」
教授が但馬に反論した場面を保は今まで見たことがない。今回もご他聞に漏れず、以下同文だった。
保が搭乗して、いよいよ最終実験が始まった。飛行車の計器や操縦は大部分を製作した保には一目瞭然だった。
「では、上昇を開始します」
保が機器のスイッチを入れると、飛行車は微細な音を発し、ゆっくりと1m、上昇した。
「続いて、前後左右へ移動します」
ふたたび別のスイッチを保が弄くると、車体は1m上昇したまま左右へ移動し、その後、前後へ移動した。
「順調なようです。では、下降します」
保が言うとおり、その数秒後には飛行車は研究室のフロアへ無事着地した。
「制動はOKだな。あとは距離の飛行だ…」
教授が満足げに飛行車を見て言った。
「距離飛行は室内では当然、無理ですから、教授がお考えの場所へ移動させますか?」
「ああ…。世間の目につかない地点を考慮に入れてるんだよ」
山盛教授は徐に白衣のポケットから地図を取り出し。部屋隅の机上へ広げた。但馬、後藤はその地図を覗き込む。保も飛行車を降りると机へ近づいた。




