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「いや、そうじゃない。ちょっと遠いんだが明日、1m浮上、下降実験、それに1m前後左右移動実験が成功すれば発表するよ。さあ! 皆、疲れただろう。今日はこれまでにしよう! お疲れ!」

 そう言うと、山盛教授は脇目も振らず研究室を出ていった。余りのそっけなさに、全員が唖然としながら教授を見送った。その後は各々がばらばらに研究室を出た。

 保はマンションへ戻ると、疲れたのか浴室へと消えた。そして、食事を済ませると軽くブランデーで口を潤しながら、物思いにふけった。

『どうかしたの?』

「いや、なにもない。今日はもういいから…。明日も大変なんだ、もう寝るよ」

 そう言い終えると、保は急ぐように寝室へと消えた。

 次の日、山盛研究室は引越しのような慌しさだった。乱雑に散らかった機材や部品屑の整理清掃をすることが、限られた狭い研究室のスペースの中で飛行車を上下降、左右移動するための必須う条件だった。1mという制限つきながらも万が一、機材や施設の端にでも追突すれば偉いことになる・・とは教授以下、研究員は誰も分かっていた。そのためには飛行車を室内中央に置く必要があった。室内の整理清掃が済むと、各自の机を隅へやるレイアウトの変更となった。当然、パソコンや書類なども対象だ。あたかも大改造の工事を思わせる変化が山盛研究室で行われたのである。

「よし! これくらいでいいだろう!」

 但馬が大声を出したとき、室内には昨日までの面影がまったく残っていなかった。飛行車の移動は四人が持てば十分過ぎる軽さで、室内中央へ運ばれた。

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