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それはそうとして、飛行車は世界の発明としてその栄光の姿を完成させつつあった。保は恐らく100%の安全性が確保されていれば10分の1の模型を試験飛行させた国立競技場辺りの人目の届かない場所での飛行試験を予想していた。事実、教授は完全な安全性が担保された段階で、実施しようと考えていたのである。ただ、その場所は、保の予想とは違い、鎌倉近くのとある海岸だった。そのため、教授は密かに候補地を探り、その海岸に決定したのである。山盛教授の考えでは、人目の届かない松原越しの砂浜から海原めがけて飛行するという想定だった。

『沙耶さんですか? 三井です』

 三井の方から携帯がかかったのは次の木曜の正午だった。ちょうど沙耶が携帯を手にして指を触れたときだったから、沙耶は少し意表を突かれた形だ。

『あっ! 初めてね、そちらからは…。今、かけようと思ってたところ』

『そうでしたか…。資金の方は準備できました。この前言ったように、中央競馬会の配当金が10万×(かける)50回で、計500万ばかりです。足りないでしょうか?』

『まあ、そんなに? よく怪しまれなかったわね。まあ、何もなけりゃいいけどさ。それにしても大したものね。そのプログラムは私には予想できないから…』

『はあ…。先生が得意とされる確率の分野ですから…』

『だとしても、100%は凄いじゃない!』

『ええ、まあ…。それはそうと、明後日あさっての土曜でどうでしょう?』

『技術研修の続きね…。時間は保がいるからこの前のようにはいかないの。2時間遅らせて11時ってことで…。9時過ぎでもいいんだけど、見つかれば面倒だから…。別に人間のような男女の密会じゃないんだからいいんだけど。説明が困るのよ』

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