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 一時間が経過し、山盛研究室の四人は、かつて自動補足機の実験走行で訪れた国立競技場の回廊に来ていた。ただ、今日の場合は、回廊走路での実験ではなく、外部グラウンドを貸し切っての実験だった。山盛教授が午前中、マスコミなどの部外者を立ち入らせないために貸し切ったのである。

「上手いこといくとええけどなぁ~」

 誰に言うでもなく、つぶやくように後藤が口を開いた。保は総責任者として機体と操作盤の調整に余念がなかった。この操作盤は大型免許を持つ後藤が昨日の深夜、密かに運び込んだ実物大の操縦席である。むろん、運び込みの許可や手筈も山盛教授が施設側に了解を取っていた。以前のときもそうだったのだが、山盛教授と施設の理事長との太いパイプで繋がった人脈が、この飛行実験を可能にしたのだった。

「飛んだ、飛んだ!! 飛びましたなぁ~!」

「君なあ、そう凧が飛んだように喜ぶんじゃない。そりゃ、岸田君が設計したんだから飛ぶだろうさ。なあ、岸田君」

 操縦席に陣取り機体の計器をいじる保を横から見ながら、講師の但馬が後藤をたしなめた。反対側には山盛教授がいて、腕を組みながら保の操作と飛ぶ飛行車の模型を交互に見守る。但馬の声に保としては沙耶が設計したんです、とは返せず、ただ黙って微笑むしかなかった。

「騒音もないし、こりゃ今度こそ実用化の道が開けそうだな。なっ、岸田君!」

「はい!」

 保は話したいのだが操作に慣れておらず、その余裕はなかった。

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