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山盛研究所では、保が発案した飛行車の本格的な設計が始まっていた。自動補足機と同様、各パーツごとに三人が受け持つ形で進められたが、自動補足機の製作工程と違ったのは、山盛教授も設計に加わったことである。だから、実質的には設計も四人になったということである。統括責任者は発案者の保が教授に代わり任された。だから保の責任は大で、沙耶と三井の間で密かなミーティングが続いているなどとは、まったく知らないまま設計に忙殺される日々が続いていた。山盛教授としては自動補足機の二の舞は踏みたくない訳で、今度こそは…と半ば狂人化していた。こうした教授が目の前にいれば統括責任者としての保は、やりにくいのだが、上司の教授である以上は仕方がない。まあ、好きにしていただくか…という諦めの心境で研究をリードすることにした。当然、マンションへ帰れば沙耶に愚痴ることが増えたが、心の蟠りは幸い吐き出せたからフラストレーションに陥らずに済んだ。そして、ひと月が過ぎ去った頃、山盛研究室では、いよいよ飛行車の10分の1模型の組立が始まった。
「いよいよ、エアカーですなぁ~!」
呑気な後藤がアフロ頭を揺らせて笑った。五月蝿い! お前は黙ってろ! と保は怒れたが、口にはしなかった。統括責任者の保としては場が気まずくなるのは避けねばならん…という気持が働いたこともある。




