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 お前は何をくんだ! と怒れたが、そこはそれ、陽動作戦に乗ってはいけないと溜飲を下げ、冷静になろうと保は努めた。

「ははは…そんなことはないよ、里彩ちゃん」

 保は面白くないのに笑って誤魔化したが、顔は笑っていなかった。

「三井よ、あちらで沙耶さんのお相手をしてなさい。見合い話をお前に聞かせてものう、ほっほっほっほっ…」

『分かりました』

「私は?」

 里彩がポツリとたずねた。

「ああ、お前もいたな。…好きにしなさい」

「じゃあ私は、ここにいることにする」

「里彩が聞いても分からぬじゃろうが…」

「いいわよ。私だって大きくなったら結婚するんだもん!」

 こまっしゃくれた餓鬼めが…と一瞬、保は思ったが、よく考えれば沙耶と三井を一対一で対峙させた方が好都合なのでは…と思い返した。沙耶に三井を調べさせられるからだ。

「わっはっはっはっ…」

 長左衛門が大声で笑い、里彩の頭を撫でた。タイミングを推し量ったように沙耶が茶盆を持って下がった。

『では…』

 三井も沙耶に続いて和間を出た。結局、長左衛門⇔保、沙耶⇔三井の構図が二元的に始まったのである。

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