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 手渡された皮鞄かばんから、長左衛門はおもむろに見合い写真を出した。沙耶が手盆に茶碗を載せてキッチンからやってきた。茶菓子はすでに机上に配置され、準備済みだった。

「このお方なんじゃがな…。どうじゃ?」

 長左衛門は保の前へ見合い写真を広げて差し出した。沙耶はその写真を一瞬、垣間見ただけで、茶碗の乗った茶托をゆっくりと机の上へ置いた。人間なら一瞬では、よく分からないが、アンドロイドの沙耶にはそれで十分で、写った着物姿の女性を映像化データとして解析できるのだ。その女性の年齢、住所、勤務先、名前、性格etc.のすべてが、瞬く間に解析された。しかし、億尾おくびにも沙耶は出さない。当然、その情報は三井にもデータ化され分析されていた。

『どうぞ…』

「ああ、すみませんな、沙耶さん」

 そう言うと、長左衛門はゆっくりと茶碗を手にしすすった。里彩も続いたが、彼女の手はすぐに茶菓子へ伸びた。三井は茶碗や菓子に手を出さない。

『三井さんも、どうぞ…』

「ああ、こいつは日本茶が駄目でしてな、はっはっはっはっ…」

 長左衛門が、しまったとばかりに苦笑いで言い訳した。

『あらっ、そうですか。じゃあ、コーヒーを今、れます』

「もう、構わんで下さい。こいつは今、医者に飲食を止められておりましてな」

『はい、ご好意だけ…』

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