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長左衛門が三井の新機能を組み上げたのは、その半月後だった。その頃、保のキャド(コンピュータ設計支援ツール)による飛行車構想はようやく軌道に乗りつつあった。しかし、それを知るのは保の友人である馬飼商店の中林だけで、他の者は誰も知らなかった。
「ははは…空飛ぶ車で飛行車か。飛行機じゃないからな」
「仮の名だ。そう笑うな」
「いや、笑うつもりはないが、エアカーの方がいいんじゃないか。語呂がいいぜ」
「エアカーか…。いいな! よし、そうしよう」
中林の発案で、このときから二人の間で飛行車はエアカーと呼ばれるようになった。実際のところ、エアカーの詳細は沙耶が保にアドバイスしていた。あるときなど、保がパソコンに向かって頭を捻っていると、傍へ寄ってきて横へ立ちパソコン画面を見て言った。
『これ、かなり無理があるわね…』
「えっ?! …そうか? 俺はこれでいけると思ったんだが…」
『悪いけど、全然、いけてない。これじゃ無理ね。ここさ、部分的に揚力が削がれるからアウト!』
「フラフラ、バタン、キュ~~か…。推進力でなんとかと思ったんだけどな」
『地球の重力は、そんな甘くないわ』
「そうだな…」
いつの間にか保は席を立ち、沙耶が椅子に座ってキーを叩き始めていた。




