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「おじいちゃま、私は宿題があるから、これでね…」

「ああ、ごくろうさん。またのう…」

 里彩は盆を手にすると、チョコチョコと細かく歩いて隠れ部屋を出ていった。

「三井よ、保のところで、ひと働きしてもらわねばならんが、大丈夫かの?」

 長左衛門は椅子に座る三井へ静かに言った。

わたくしに出来ることなら如何ようにも…。で、どのような?』

「ほっほっほっ…。まあ、そう急ぐ出ない。後日、言うことにしよう」

 そう告げると、長左衛門は顎鬚あごひげをゆったりと撫でつけた。

 長左衛門は目論んで保が作った沙耶と三井をバトルさせようとしていた訳ではない。だいいち、沙耶のアンドロイド情報は三井が報告しただけで、長左衛門としては正確に掌握出来ていなかった。三井は沙耶との会話で音声のゆがみを沙耶から感じ、100%の確率で彼女? がアンドロイドだと断じて長左衛門に告げただけのことである。だから長左衛門にそれ以上のことが分かる筈もなかった。ただ彼の研究心にふたたび火がついたというだけのことである。三井に加わる新機能で沙耶と対峙させようとは考えていなかった。しかし沙耶の詳細をもう少し知りたいとは考えていた。むろん、その思いは子分である里彩にも伏せていて、我が身一つに収めていた。保も沙耶もそんな展開になっていようとは、まったく知らず、長左衛門のことは忘れていた。多少、気にしていた保も、山盛教授に念を押された飛行車のキャド(コンピュータ設計支援ツール)に忙殺され、忘れていたのである。

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