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『片づけよ、片づけ』

「片づけって?」

「地震の津波」

 津波と聞いて、さすがに保もピンと来た。地震と津波…これはもう、今では過去の語り草となっている東日本を襲った大震災のことだとひらめいたのである。その片づけか…と思えた。そういや未だに立ち直れない人々も多くいるとは聞いている保だった。結局、うなずいただけで、多くを沙耶から訊くことなく、その日は終ってしまった。保が少し疲れを感じていたこともある。山盛教授に言われている飛行車のキャド(コンビュータ設計支援ツール)は余り進んでいなかった。その構築を考え、なおかつ長左衛門対策を考えていたのだから、保が疲れるのも道理だった。その点、疲れるという言葉が認識出来ない沙耶はタフそのものである。ソファーでぐったりしている保をよそに鼻歌で調理場に立っていた。保つとすれば、そんな沙耶がわずらわしうとましいのではなく、うらやましく思えていた。人として見れば、疲れないことは有り得ないのだ。だが、その疑問を口にすることなく、じっと眼を閉じながら、流れる鼻歌を聴いていた。よく考えれば、十日に一度のメンテナンス以外、彼女? は完璧だった。

 翌朝、保はいつものように沙耶によって起こされた。彼女? は、すでに一時間以上前から起動していて、当たり前のように食事の準備と愛妻弁当ならぬアンドロイド弁当を調理しているのだった。

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