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怪獣はアンドロイドのことを勝夫婦には言ってないだろう…と保には思えたが、相手は沙耶と同等のアンドロイドを保持しているのだ。ある種、核爆弾を完成させた開発途上国にも似通っていた。だから保は万が一を想定して連絡を入れずに帰ったのだった。それに加え、怪獣長左衛門には手下の里彩もいるから、故郷の実家も、まったく侮れない敵地だった。
「じいちゃんは?」
「ああ、いるぜ。たぶん離れの書斎か、その辺りだろう…」
そこへ兄嫁の育子が現れた。保と沙耶は応接室の長椅子へ腰を下ろしていた。
「いらっしゃい! 保さん。久しぶりですわね」
「やあ、お義姉さん。ご無沙汰してます」
「あらっ?! こちらは?」
育子は何を思ったのか、ニコリと笑みを浮かべて訊ねた。
「ああ…友人の従兄妹の沙耶さんです。こっち方面に用事があるそうで、ついでに乗せてきたんです」
『沙耶です…』
そのとき、家政婦のトメがトレーに紅茶入りのカップを乗せて現れ、テーブルへ静かに置くと陰気に去った。
『私、今、お腹の調子が悪く、飲食は出来ないんです。すみません』
「そうなんだよ」
「あらっ! それは、いけないこと、ほほほ…。大事になさって下さいましな」
勝の隣に座った育子が、優しい声で言った。保は、ほっとした。だが、それは保の大きな誤算で、気の緩みだった。




