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渋滞する高速道路を選択しなかったのは正解だったな…と、保はフロントガラスに小さく見えだした故郷の家を見ながら思った。

「はい、どちらさまでしょうか?」

 広大な敷地の一角に車を止め、保が表門のインターホンを押すと老いた家政婦の山村トメの声がした。

「あっ! トメさん。保です」

「えっ! 保ぼっちゃま! はいっ、ただ今!」

 そんな声があわただしく聞こえ、しばらくして兄のまさるが出てきた。トメが言ったんだろう…と保は思った。

「こちらは?」

「ああ、友達のお従兄妹さんだ」

『沙耶といいます』

「ちょっと、用事があるそうで、来るついでに乗せてきたんだ」

「ああ、そうでしたか…。まあ、立ち話もなんですから、お入り下さい」

『どうも…』

 勝が先導し、三人は家の中へ入った。表玄関までは優に100mあった。

「なんか急用か、保?」

 保が靴を脱ぎ、上り(かまち)へ足を運んだとき、勝が口を開いた。沙耶は先に上がっている。

「ああ、まあな。じいちゃんに、ちょっとな…」

 帰ると連絡を入れてなかったのは長左衛門の動きを封じる意味があった。

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