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「まあ、お前次第だが…。店の話は聞かなかったことにしよう」

 言い終わると、中林は席を立ち、マンションを退去した。

『また、いらしてね』

 ドアを出る直前、沙耶は感情プログラムの愛想よい猫なで声を出し、中林の顔は思わずグニャリと緩んでいた。さてと…と、保は沙耶の感情システムへの補足プログラムを作り始めた。猛スピードを出す場合には周囲の状況などを考慮した上で・・という抑制プログラムだった。

 次の日、保は研究室で全員の検討会に臨んでいた。完成した自動補足機を、どのようにするかである。このまま、しばらくはマスコミに発表せず、お蔵入りさせて様子を観るのか、あるいは記者会見の通知をマスコミ各社にして、大々的に世間へ発表するのか、はたまたその二つ以外の方法を考えるのか…という検討会である。小一時間続いた検討会は、コレ! という決定論には至らず停滞していた。沈黙して座る四人の場に中林から電話が入ったのである。検討会だから保の携帯は当然、バイブレーション設定にしてあった。激しく震える胸元の携帯を取り出すと、保は保留にした。送信は中林からだった。

「教授、ちょっと、すみません。携帯が…」

 山盛教授は保が手にした携帯を見た。

「ああ、いいよ…」

 保は席を立つと研究室から出て、保留を解除した。

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