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「なんだ、まだあるのか」

 中林はネルドリップコーヒーを準備する沙耶を見ながら言った。

「そういうな。実はだ、沙耶をこのままマンションに置いておくというのは、どんなものかと思ってな。お前、どう思う?」

「どう思う、って、それでいいんじゃないか。別におかしかぁないだろ」

「いや、それがな。じいちゃんに、どこへお勤めかとかれたんだ」

「えっ! それで?」

「機転が効くっていうか、咄嗟とっさに沙耶は話題を変えて自己紹介したんだ。それで危機を脱したという寸法だ」

「勤めていません、で、いいんじゃないか? あるいは学生です、とかで…」

「いや、そりゃまずいだろ」

「なぜだ?」

「だって、お前の従兄妹いとこって設定だぜ。俺はお前の事情で沙耶を預かってるんだしな」

「少しあやしいか」

「そうだろ? 男女のなんか、そんな関係を思われても…」

「まあ、ずっとマンションにいるってのも変に誤解される場合もあるからな」

「で、だ。お前の馬飼まがい商店へ雇ってもらえないかって話だ。お前から馬飼の親父に頼んでみちゃくれないか」

「…まあ、頼むだけならな。しかし…履歴書てか、いるだろ?」

「それは適当に書きゃいいんだが、身元保証人とか引受人をお前に頼むしかないのさ」

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