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『数時間、顔を合わせするだけのお付き合いですから、御期待に応えられるかどうか、存じませんが…』
上手いこと言う…と、保は思った。沙耶は暗に深い関係でないことを長左衛門に宣言したのである。
「んっ?! ああ…左様か。いやいや、そうなのでしょうがな。ひとつ、宜しく…」
長左衛門も思い過ごしか…と感じたとみえ、言葉を改めた。保にしては、ともかく、してやったりである。
「で、じいちゃん、いつ帰るんだ?」
「ああ、そのことよ。今日、明日はこちらに泊って、里彩と東京見物でもしようと思うておる」
「そうなのか、そりゃいいや。里彩ちゃん、いろいろ連れてってもらいな」
「うん! そのつもり。スカイツリーとかね」
おしゃまな里彩は、すでにある程度、計画しているようだった。保はそ
以上言えば、手下に何を言われるか分からないから自重した。しんみりと静かになったとき、沙耶が言った。
『里彩ちゃん、お腹すいてない? 何か作ろうか』
沙耶の感情システムは厳戒態勢の中で極端なヨイショ! を選んだ。要は、褒めちぎり、相手を気分よくさせる手法である。だから当然、柔らかな猫なで声である。
「うん! 里彩、お腹ペコペコ!」
元気がいい大声で里彩は言った。




