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『おはよう。今朝は早いわね…』
今朝は、か…とは思えたが、悪気があるようでもなく、保は聞き流した。文章だけなら随分、冷たいアンドロイド女だが、実際は優しい声でにっこり顔の微笑みなのだから、保も言い返せなかった。恰も、ボールを持ったサッカー選手が、相手選手に進行を阻止されているようなプレス感なのである。それ以上、突っ込みようがなかった。
『朝食、もう出来てるわよ。すぐ、温めようか?』
「いや、10分ほどあとにしてよ。また言うから…」
『そう…じゃあ』
まったく普通の夫婦の会話で、誰が聞いても違和感がない。ほぼOKか…と、保はガウンを脱ぎながら沙耶の出来を、改めて思った。
朝食が済み、沙耶は炊事を終えると、着替えを選別し始めた。保が適当に市販品を買い求めていたもので、下着類だけは、さすがに気が引けたから買えず、実家の妹の奈々に訳を言って送ってもらったものだ。「お兄ちゃん、凄いじゃん!」と、からかい半分で言われ、嘘じゃねぇ~!! と叫びそうになったが、抑えて手に入れたシロモノである。アンドロイドとはいえ精巧なメカに仕上げられた沙耶には、その辺りはお見通しで、『こんなに…。妹さんからね』と膠もなく、笑顔で返された。




