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保はそんな沙耶を見ながら、調理されたロールキャベツを口へと運んだ。絶妙の味加減で、ピラフも美味かった。新婚夫婦ならこのあとは…となるが、生憎あいにく、生理的機能は加味されていないし、そういうプログラム自体が保は苦手だった。親友の馬飼商店に勤める中林に過去、その件について相談したこともあった。「お前は、からっきしだからなあ、ははは…」と一蹴いっしゅうされた。それ以降、保にはそうしたプログラム自体がトラウマとなり、除外した・・という経緯いきさつがあった。プログラムが組めない、という訳ではなかったのだ。保も立派な大人男子だから当然、沙耶に軽く欲情することもあったが、アンドロイドなんだ…という理性で、今のところは、なんとか抑制出来ていた。

 次の日の朝、保は小鳥のさえずりに起こされた。都会の一角とはいえ、幸い、居住地のあちこちには緑の梢が至るところ見られ、野鳥も結構いた。その野鳥の一部が少し離れた保の賃貸マンションへ屋根伝いに朝やってくる。熟睡している日以外は、ほとんどこの小鳥のさえずりで目覚めた。熟睡している場合でも、その日は沙耶が確実に起こしてくれるから、保は遅刻の心配から完全に解放されていた。保がベッドを降りたとき、丁度、ドアのノック音がした。

「はい…いいよっ」

 保は即答した。よく考えれば、熟睡しているとき、彼女は勝手に入っている訳じゃないのか…と思える。熟睡していれば当然、意識はない訳で、ノックの音も一応、耳には届いていたのだ。

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