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『持ってないわよ、走って帰るもん。来たときは10分ほどだったかしら』

「ええっ!! 沙耶、お前、走ってきたのか?」

『そうよ』

 さも当然とばかりに沙耶は返した。保は一瞬、ギクッ! としたが、よく考えれば、沙耶の能力なら可能で、彼女のシステムが最適な条件として歩行より走行を選択したのか…と思えた。それにしても、距離からして10分程度で着いたとすれば、時速40Kmは優に出ている勘定だ。

「警察とかに注意してなっ。あまり早いと不審に思われる。いや、それでも駄目か、通行人の目がある。…走るなら、ジョギング速度だ。人は沙耶の速度じゃ走れないからな」

『分かった…』

 (うなず)く沙耶を見て、保は車へ乗った。保が乗り込んでドアを閉じると、すぐ車は発進した。運転は但馬である。

「君のお従兄妹いとこさんは、少し変わってるね…」

「はっ? はい! 確かに…」

 保としては、そう返すしかない。

「メカには強いし、足は早そうだし、頭も切れる。私らは知ってるからなんだが、あれじゃ、世間には浮くだろ?」

「はい! じいちゃんの話じゃ、田舎で異人扱いされてるそうです」

「そうそう。君のじいさんも、すごく個性的な方だな」

「ああ、そうですね。じいちゃんの豪快は昔から地元で有名です…」

 保は、答えるひと言ひと言が冷や汗だった。

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