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「岸田君がそう言っとるんだから、そうなんだろう。私らの目の錯覚かも知れんな。いや、確かに・・早くは見えたが…。あんな早さは人間には無理だ。科学的では説明がつかん! 後藤君、もう忘れろ」

「分かりました…」

 教授の言葉に、後藤は不承不承ふしょうぶしょうほこを収めた。保としては、ホッ! とした気分と、やれやれ…という二つの気分に同時に襲われ、精神的にかなり疲れていた。まあ、それでも、沙耶の失態は、かろうじてぬぐえたから、よかった。

「沙耶、俺達は遊んでんじゃないんだから、隅で静かにしてなさい!」

『んっ、分かった…』

「岸田君、そこまで言わなくても…」

「いえ教授。これくらい言っとかないと、また何をしでかすか分かりませんので…」

「うん、分かった。それじゃ、再開しようか。もう一度…そうだな、自由走行を続けてくれたまえ」

 山盛教授の言葉に(うなず)き、保はふたたび自動補足機のスイッチを左右、ONにした。そして、少しずつ歩きだした。それに伴い補足機も機能し始め、スピードを上げていく。一歩から二歩へ、二歩から四歩にと加速し、体育館のフロア上を闊達かったつに回る様相を見せ始めた。

「教授、なかなかいいようですね」

「そうだね…」

 但馬が腕組みする教授に呟くように言い、教授は気のない返事で返した。

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