129/310
-129-
「教授、完成すれば、発表なさるんですか?」
車中でアフロヘアーの後藤が突然、訊ねた。
「んっ? …それなんだよ。君達は、どう思うかね。私ゃ、マスコミ対応で疲れそうだから、どうも気が進まんのだよ…」
テンションを下げ、山盛教授が少し声を小さくして呟いた。
「いずれは分かるんですから、マスコミ対策を立ててから公表すればいいじゃないですか」
「マスコミ対策って?」
保が訊く。
「研究所内で対策マニュアルを作って、出来れば専門対応者、早い話、スポークスマンに窓口になってもらう。そのスポークスマン以外は一切、取材に応じない、みたいな…」
珍しく後藤が賢かった。
「おっ! 後藤君らしからぬ名案だぞ、そりゃ」
山盛教授がその案に乗った。
「いいですね!」
腹の中は分からない但馬も当然、教授に追随した。
「教授、到着です」
そのとき、運転する保が、ひと声かけけた。左手前方に京東大学の付属体育館が見えてきた。
「まあ、この話の続きは体育館でな…」
教授の言葉を最後に全員、無言になった。




