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「あっ! すみません!」

 ふと、記憶がよみがえった。保は、ついうっかり忘れてしまっていた。すべては管理人の藤崎と怪獣長左衛門に原因があるように思えた。

「君にしては珍しいじゃないか。何かあったのかね?」

「えっ? ええ…。実はマンション管理人と家賃のことで出がけに話してましたので…」

 藤崎が妙なところで役立った。

「まあいい…。君、今日は大学の体育館で、この前のようなことを、やってもらうよ」

「はい。国立競技場の塩梅あんばいですね?」

「そうだ。あと10分ほどで出かけるから、早く準備しなさい」

「分かりましたっ!」

 保はロッカーの白衣を着ると、但馬と後藤が始めている持ち出し機材の準備作業に合流した。準備は大よそ終わっていたから、保がこれといってすることもなかった。自動補足機は道路交通法の関係で恐らく一般道の走行は物議を醸すだろう…とは、山盛教授と知己の法学部教授の見解らしかった。むろん、新聞、テレビ、サイエンス雑誌、ネット等のマスコミは避けねばならない秘密裏の走行試験である。大学体育館の使用にも事前の根回しがされていて、この日の体育館は一般使用禁止となっていた。

 京東大学付属体育館へは、研究所より車で10分ほどを要した。もちろん、自動補足機は、誰の目にも触れられないように厳重に梱包されていた。

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