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『そう? 前にも言ったと思うけど、私には隠し事は出来ないわよ』
「そういう言い方は、ないだろ」
保は少し怒れた。内心まで見透かされたのでは堪ったものではない。
『ごめん! 怒ってるでしょ』
「いいや…」
怒っていたが、保は隠して言った。
『それ、隠してる。言葉にそう書いてある』
沙耶には音声解読システムがあったのだ。細部は話す内容が多くないと解析できないが、感情の起伏は嘘発見器の精度を遥かに超えた。というよりは、完璧な100%の確率で相手の感情の起伏から真実と嘘を識別出来たのである。
「ああ、そうですよ、隠してました。それが何か?」
保は少し拗ぎみに言った。
『私はアンドロイドだから、ここまで。普通は喧嘩になるんでしょ?』
沙耶は終始、冷静に解析して話しているのだ。保は人間の醜さがまた一つ見えたような気がした。
「そうだな。もっとお互いに興奮して…」
保が語尾を暈したのは、完全な敗北を認め、白旗を上げたことを意味した。事実、沙耶には勝てないと製作したのが自分であるにもかかわらず、保は思っていた。SF映画の機械軍の猛攻で逃げ惑う人間の映像が、ふたたび保の脳裡を過った。




