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『あのう…この辺りの人口は?』
スクランブル交差点を渡ったところで、沙耶は通りがかりの黒ギャルに訊ねた。
「はぁ~!!?」
瞬間、沙耶は完全無視されていた。沙耶のシステム内では、日本人でありながら日本語が認識できない人物を発見 1名 と、データ化された。さらに同じ内容で別の者に訊ねるか…沙耶の予想システムは不適当と判断した。よく考えれば、今、この周辺の人口を知る必要性はゼロかゼロに近い確率だと予想システムは結論したのである。
『仕方ないわね、最近の子は…。私の言い方が拙かったのかしら?』
保が、この場にいたなら、即、訊いてる話題が飛び過ぎだ、と注意してくれるのだろうが、いないから沙耶は訊ねた内容が唐突過ぎることに気づかなかった。というより、実は、この単純な小事の裏には、とんでもないトラブルの原因が含まれていた。もちろん、そのことに沙耶の予測システムは気づいていないし、いない保が気づくはずもなかった。
『まっ! いいか…』
気分転換を図るのがベスト・・という指示が感情システムからあり、沙耶はスカイツリーに昇った。大都会が一望できる。これが東京なんだわ…と、都心を初めて眼下に見て思った。周りにいる人々は、幸い沙耶がアンドロイドとは気づいていない様子で、注視することは一切なかった。




