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 保はガックリした。こりゃ、手強ごわい嫁だ・・と、思えた。沙耶の感知機能は、すでに出がけから保の嘘を見抜いていたのだ。だがえてそれを口に出さなかったのは、沙耶の中の洞察機能の感情対処プログラムが作動していたのである。、しかも表情システムも小さな笑いを選択していて、嫌味ぽかった。

「まいったなぁ~、こりゃ」

 笑いで隠しながら保は上へあがった。しかし、このプログラムは修正の必要がないように思えた。この感情自体が本来の人間性だからである。ということは、誰もが抱く感情だから、他の者が聞いてもまったく違和感がないと判断できる。もちろん、沙耶は最終試験が合格しているのだから、余程のトラブルさえなければアンドロイドとは見抜けない完璧さだったのだ。こうしてみると、沙耶はプログラムよりパワーを強化した方がいいに違いない・・と、ブレザーを脱ぎながら保は思った。脱いだブレザーは後ろに立つ沙耶がサッ! と受け取り、クローゼットへ収納した。保はその完璧さに言うべき言葉がない。

『バス、入れるわよ』

「ああ、有難う。もう少しすれば、入るよ」

『じゃあ、向こうへ行ってるね』

 沙耶は気を利かせて、保を一人にした。こういう細やかな洞察機能の退去プログラムも微細で素晴らしかった。ただ、トラブルがいつ発生するかは、神のみぞ知る・・なのだ。地震や自然災害の発生にも似ていた。むろん、その場合の手動切り替え遠隔操作機はある。しかし、保が必ず付く以前とは違い、今後、沙耶が自由に外出している場合は、その行動距離によっては機能しない可能性もあった。

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