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#82 楓の違和感

~おとめtheルル~

20代くらいの青年。

イラスト、アニメ、ゲームが趣味。


文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。

小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。

#82 楓の違和感


1月終盤。


あの日、魔王の弟に襲われてから半月以上経った。

それからというものの、特に攻撃を仕掛けてくるようなこともなく

ただ淡々と日々が過ぎている。

やはり奴らのエネルギーも無限というわけではないみたい。


この間に私たちは奇跡の雫を作るための準備を進めることにした。

楓のこともあってしばらくはそんな余裕なかったから。


まず、奇跡の雫を作るためには校長の娘に協力してもらう必要がある。

ところが、私たちは彼女、霧島沙奈に会ったことがない。


校長の娘なのだから校長に直接聞けばいいのだが、

残念ながら校長は今、年度末の仕事で忙しくてなかなかゆっくり話すことのできない状況。

それに福岡先生に関しても研修に出かけていて校内で会うことすら叶わなかった。

ただしこの学園にいるという情報は手に入れていたので

それを頼りに学校組の私たちは協力して沙奈を探すことに.....


----


「すみません、こちらの教室に校長の....いえ、沙奈さんはいらっしゃいませんか。」


ある日の休み時間。


沙奈を探すため手分けして各教室を回っていると、ついに沙奈についての情報を入手した。

それは1年1組の教室に行ったときのことである.....


「....沙奈って....霧島....沙奈....です...か...?」


「ええそうよ、霧島沙奈。もしかしてこの教室にいるの?」


やっと見つけた....そう思ってつい詰め寄ろうとしてしまう。すると.....


「ちょっとちょっと!未帆に何やってるんですか!!脅迫はお断りですよ!!」


必死になりすぎて圧が強かったのか、彼女の友達に脅迫と間違われてしまう。


「いや、違うから...陽花....!」


「あ、違った?」


ごめんごめん、と一歩下がって沙奈を探していたことを話す。


「なーんだ。沙奈に用があったんだね!」


「ちょっと....先輩でしょ....」


なんだろうこの子....あとから来た友達のほうはどこかバーランド味を感じる。

確か....陽花....だったかしら......


「あ、でもすみません、先輩!なんか沙奈ってば体調悪いらしくて

しばらく学校休んでるんですよ。私たち沙奈の友達だから

放課後お見舞いに行こうってなったところなんです!ね、未帆?」


「え、ええ....そうなんです.....はい....」


あらら....それは大変....

どうりでどこを探しても見当たらないわけだわ。

けれどここにいるという情報だけでも得られたのは大きい。


「ありがとう。じゃあ沙奈が元気になったらまた会いにくるわ。」


こうして沙奈との接点を見つけた私。

そして放課後、この情報を共有するためいつもの空き教室に楓と優衣奈を集めることにした....


----


放課後。

2人に集合をかけたあと、私は先にその教室に行って待っていることにした。

あの2人、藍や美歩と話していたからもう少ししたら来ると思うけど。


....そんな風に思いながら空き教室で待っていると、どこからか魔力を感じた。

誰かが魔力を使っているということである。

そしてそれは楓や優衣奈のほうからの反応だった。


[ちょっと....あの2人ってばなんで校内で魔力なんて使ってるの....?]


ひとり、そう思いながら呟く。しかし....


「....?」


どういうことかしら....

2人の魔力からは1人分の魔力しか感じない....

普段とは違う魔力に違和感を感じていた。


魔力というのは通常、使用すれば必ず相手に魔力があるということが分かる。

ただ、向こうの世界では大陸全体に魔力が満ちていて、

その感覚に慣れきっていた私たちはピンポイントで魔力を感じることがないというだけ。

それくらい皆が魔力を持っていたのである。


ところがこの世界で魔力があるのはこの地域一帯のみで

魔力エネルギーを扱えるのも限らていたため、ピンポイントで魔力を感知しやすいのだ。

だから楓や優衣奈の動きに合わせて魔力の動きを読むことができるのである。


今、なぜか楓と優衣奈は2人同時に魔力を使っている。

一緒に使っているはずなのにどうして1人分だけ....


「.....!?」


なるほど、完全に理解した....


これはそもそも楓の魔力ではない....

楓が吸収した優衣奈の魔力である.....

だとしたらまさか、楓に吸収魔術が....?!


ガラガラ....


ちょうどそのとき、楓と優衣奈が私のいる教室にやってきた。

この吸収魔術について調査するため私はカレー屋に戻ってフィレッチェと相談することに。

しかし他にも気になることがあった私はやってきた2人にこう提案するのであった....。


「...ごめん、せっかく来てもらって悪いんだけど私先帰る。

2人も今日は仕事でしょ?だから私が先に帰って準備しておく。

2人はここに残って沙奈についての情報が手に入らないか調べておいて。」


「きゅ、急にどうしたの....?フィアラ....?」


せっかく呼んでおいてからのこの提案に、優衣奈が心配してきた。ここは.....


「いや、そのほうがギリギリまで作戦会議できるでしょ。」


「え....?まあ確かにそのほうが効率はいいかもだけど....!」


効率重視というのを口実になんとか逃げ切った。

優衣奈が純粋で助かる。


一方で楓にはこの違和感についてそっと話すことにした。


[ねえ、楓。あなたの魔力に違和感を感じるの.....

しばらくしても沙奈の情報が手に入らなかったら、私に連絡して.....]


[ゆ、優衣奈には言わないの....?]


[いや、まだ内緒にしといて。向こうから魔力の話が出るまでは....]


....?、と顔を渋らせる優衣奈。

さっきから私の勝手な行動に納得がいっていない様子。


「あー、いやなんでもない。ほら、教室周りは特に情報なかったって話....!」


「えー?じゃあなんで秘密に....」


「優衣奈に先話しても勝手に行動するだけだから。」


楓がいい感じにフォローしてくれたおかげでなんとかなる。

私の一言にむすっとする優衣奈だったが、

結局はそれで納得して楓と一緒に沙奈探しをしてくれることになった...


----------


「何、吸収魔術が楓に...だと?」


帰ってきて早速フィレッチェと相談する。

フィレッチェなら賢者様だし何か解決策を考えてくれそうだから。


「うん....しかもそれだけじゃなくてその魔術以外にも魔力を感じたの.....

私の勘だと沙奈に関する何かだと思うけれど....」


「沙奈に関する何か....か....」


するとそのとき、楓から電話がかかってきた。

沙奈の調査が進まなかったら連絡してもらうことになっていたからね。ということは.....


[...あ、もしもしフィアラ?あなた今カレー屋にいるでしょ?

今の私の魔力に違和感は感じる...?]


やっぱり楓にも何か感じることがあったみたい。

電話を聞きながら、魔力を集中させ学校のほうに意識を向ける。すると.....


「....ええ。感じるわ。それも、さっきよりも大きくなっている。

そしてもう一つの魔力についても.....」


[....そう、ありがと....。やっぱりあなたの違和感は正しかったというわけね。

....分かった。またあとで。]


電話を切るとフィレッチェのひとりごとが聞こえてきた。


「なるほどそういうことか。これは早いところ作戦会議が必要だな....」


いつになく真剣な表情の彼。

しかしもうすぐ楓も帰ってくるはず。


このあとはお店を臨時休業してもらい、

店長たち含めてみんなで話し合いをすることとなった....


続く....



はじめまして、おとめtheルルです。


クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。

気軽に反応を頂けると嬉しいです。


少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、

どうかよろしくお願いいたします!

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