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#74 帰ってきて、フィレッチェ....!

~おとめtheルル~

20代くらいの青年。

イラスト、アニメ、ゲームが趣味。


文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。

小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。

#74 帰ってきて、フィレッチェ....!


12月後半。


今日は終業式の日だったが、そのあと店長や楓は音楽イベントに参加するため

カレー屋の営業を終わらせてリハーサルへと向かう。

真乃、優衣奈もおらず店には私たち5人だけが残る形に。

楓からお小遣いと鍵を受け取って、昼以降自由に過ごすことができるのであった。

そこでテレビや雑誌の情報から今日はクリスマスということが分かる。

....正確にはクリスマスイブ。とりあえずみんなでケーキやチキンを食べる日らしい。


そんなとき、バーランドのケーキという言葉に反応し

カレー屋を散らかしながらケーキを探すディエルが現れた。


これ以上ディエルに荒らされたくないと思った私は魔術でディエルの動きを止める。

しかしその魔術は封印されし魔術で

長い間使用すると使った者の細胞に影響が出てしまうものだった....。


------


ディエルを満足させて荒らしを辞めさせるため、

急いでケーキを買いに行くことになるフィレッチェ。

ところが....


「...この世界のケーキは、一体どこで売っているのだ....?」


なんとフィレッチェはひとりで買い物することがはじめてだった。

ケーキを売っている場所すら知らないのである。


「とりあえず飲食店らしき場所に入ってみるか....」


------------------------


...ディエルを止めてから10分。

しかしフィレッチェの帰ってくる気配はない。


「...そういえばフィレッチェ、外で買い物したことありましたっけ....」


ここにきてリアンの言葉にドキっとしてしまう私たち。

私は学校の帰りに楓たちと一緒にお店に寄ったことがあり、バーランドは以前の買い出しで

真乃に教えてもらったから大丈夫。リアンも実は休みの日に買い物へ行ったことがあるそう。


「ああ......なんでよりによって、フィレッチェに任せてしまったの....」


あのときは急ぐことに必死で、そんなこと考える余裕すらなかった。

なぜならこの魔術を使ったことがないので正確な影響が分からず、

長い間この魔術を続けることに恐怖を感じていたからである。

しかししばらく魔術を使っていると意外と影響がないような気がしてしまう。


「...ね!なんか細胞が弱まるって聞いたから

徐々に辛そうになるイメージで怖かったけど.....」


私もそのイメージでいた。

だから15分くらいでもう危険だと認識してしまったのかもしれない。


「冷静になればよかったことですね....」


ただ、既にフィレッチェに頼んでしまったので

今はもう待つことしかできない私たちなのであった...。


------------------------


「何、この店でケーキは売っていないだと...?!」


一方フィレッチェはお店に行ってケーキを探す。

しかしそこは個人経営のハンバーガーショップだった。


「すみません....お客様....うちはハンバーガーショップなんで....

...けれどクリスマス用ならうちのハンバーガーがおすすめで....!」


「いや、もういい。今はケーキにしか興味がないからな。」


そう言い残してお店を出ていくフィレッチェ。

ただただ店員さんを困らせただけだった....


「そ、そんな....」


------------------------


さらに10分ほど経った。

まだフィレッチェが戻ってくる気配はない。


「もう....やめましょうよ....

これ以上続けたらフィアラ...あなたの細胞が.....!!」


リアンは段々泣きそうになりながら私にくっついてくる。


「散らかされたくらい、またみんなで片付けをすればいいだけで.....!」


くっついてきた彼女は本当に心配していた。

それはそうなんだけど....!


ディエルが本気で暴れたらこの施設がどうなるか.....

力が有り余っている上に目的のものを見つけるための手段を問わない彼からは

家や施設の1軒2軒を壊せるほどのエネルギーは余裕で感じられた。

そして普段はその力を使っていないだけである。


「...そういえば今のところ全然平気そうに見えるけど....

やっぱり、細胞には何か影響があるの?」


バーランドも不安そうにする。


「....そうね....影響は、あるはずよ.....

だってそれによって魔術が封印されたくらいなんだもの....」


...あれ....?

自分で言った言葉に違和感を覚え、私は今一度考える。


封印されるまでの間、魔術を使って自由に時空を操っていたのよね....

それまでの期間、細胞への影響があったのなら私の身体にはとっくに影響を受けているはず....


私はもう一度借りてきた魔術書の中から

魔術による細胞の影響について書いてある本がないか詳しく調べる。すると....


「これは....」


昨日借りてきた本の中にまだ見ていない本を見つけた。

そこには細胞の影響について詳しく書かれているのである....。


----


魔術による細胞への影響は蓄積ダメージみたいなもので、

魔術を使ったことにより確かに影響はあるものの

1時間の使用ではそこまで大きなものにはならない。


具体的な影響としては、1時間では蚊に刺されたくらいの痛み、2時間では切り傷、

3時間では頭痛....が、時空が元に戻るまで続くんだとか。

さすがに10時間以上も続けて使っていたという記録はないけれど、

もし続けていたら呼吸困難のレベルになるんじゃないかしら。


そもそも細胞に影響が現れる原因としては元の時間と止めた時間の差を埋めようとして

止まっていた分の時間が早く変化するため。このずれた時空が元に戻るまでの目安として

1時間だと2日、2時間だと4日、3時間だと6日.....の時間を要するみたい。


しかし使用した時間に関係なく、時空が元に戻る前に

何度も魔術を使ったらその空間内の秩序が乱れ、心臓や細胞が早く老化するようになる。

だからたぶん、封印されたときは1時間以内の時空魔術を毎日のように使い続けていたから

気づかぬうちに秩序崩壊を起こし、そこでようやく魔術の影響を知った....ということね。


...あ、この時空魔術は魔術を使用した者のエネルギーを使って

時間を止めているに過ぎないから時間が止められたほうには何の影響もない。

そのエネルギーの代償として、自身の時空エネルギーを使用しているということになる。

だから影響が現れるのは魔術を使った自分自身、だったということなのね....。

つまり私は2日間、蚊に刺された以上の痛みを受けないといけないということ....?


けれど確かに、それくらいの影響で時空を操れるのなら

しばらく使い続けてもちょっとした違和感の放置で無限に使い続けてしまうかもね。


----


....と、ここでようやく魔術による細胞の影響についてを理解し終わる。

にしても....誰がこのような研究をまとめたのかしらね。

比較的新しい魔術書だったからたぶん封印後に書かれたものだと思うけど.....


すると...


「おい。フィアラ。待たせたな。」


ちょうど本を読み終え、顔を上げるとフィレッチェが戻ってきたところだった。

そしてリアンとバーランドは泣きながら私のほうを見つめている。


「よかった.......ううっ、うう.....早くその魔術を....止めて....っ....」


「あ...」


そういえばまだこの2人は話してないんだったっけ.....


「ねえ、何をしてるのよフィアラ....!早く止めないとフィアラの細胞が.......!」


「ごめん、その....」


今になって細胞への影響は2日間蚊に刺されるくらいだなんて言えないのであった。

私はそっと時空魔術を解く。


「うおおおお.....ってあれ?俺は.....」


「ケーキを買ってきたぞ。ほら、これお前の分。」


「うひょー!!いっただっきまー....モグモグモグ....美味いっ!!」


何も知らず、ケーキを食べて満足そうに2階に戻るディエルと

泣き疲れて一気に肩を落とすリアンとバーランド。


そして何事もなかったかのようにディエルを追って

2階に上がっていくフィレッチェなのであった....。


続く....


はじめまして、おとめtheルルです。


クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。

気軽に反応を頂けると嬉しいです。


少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、

どうかよろしくお願いいたします!

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