#71 冬の到来と美歩
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#71 冬の到来と美歩
12月になった。
本格的な冬を迎え、朝晩の冷え込みも激しくなってくる。
そんな平日の朝.....
「いってらっしゃい。」
今日も学校へ行くために私と楓はカレー屋を出発するのであった。
真乃の見送りで私たちの1日がはじまる。
「...にしても寒ーっ...!早く学校行ってあったまろ?」
私の隣で自分の手に息を吹きかけながら歩く楓。
一方、私は....
「....ああ...懐かしいわ....
あの頃、依頼で一度だけギラネージュ王国に行ったことがあるけどそれを思い出すわね....」
ギラネージュ王国は、ホープヒルズ王国のずっと北にある巨大な国。
山脈を超えた先に見えるチッタマリーノという港町は、今の気温よりもさらに低くて.....
「...あら?そういえば....この国って雪は降らないの?」
....と、思わず楓の前で昔の話をしてしまう私。
楓の足は止まり、口を開けて戸惑っていた。
しかし...
「....あ.....ああ、雪....?そっか、フィアラはこの国の出身じゃないんだっけ.....」
首を左右に振ってもう一度歩き出す楓。
ごめんごめん....ここと違う世界だったことを忘れていたわ....
そんなとき....
「あ、おはようございます楓ちゃん、フィアラちゃん...!」「うーっす。」
藍とその友人が私たちに気づいて声をかけてくる。
...って....フィアラ.....ちゃん?
「いやー寒いっすねー。今週は特に気温が下がるみたいっすよ。」
藍の友人はスマホとかいう機械を見ながら呟く。すると....
「ちょっと美歩...歩きながらのスマホはよくないよ....?」
機械を見ながら歩く友人、美歩を注意する藍なのであった。
そうね。地図や資料を見ながら歩くと前方不注意で.....
「うおっと!?」
すると案の定、よそ見をしていた美歩は誰かにぶつかりそうになる。
全く....フラグ回収ってやつ...?
「おや。美歩くんじゃないか。お、は、よ、う☆」
そしてそのぶつかりそうになった相手とは山村。
彼も幸佳や友人たちと一緒に登校しているところだった。
「....だから!!美歩くんって言うんじゃないっす!!」
なにはともあれ合流したみんなは一緒に教室へ向かう。
さっきまでの寒さが気にならなくなるくらい賑やかな朝を迎えるのであった...。
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昼。
私はいつものようにひとりで昼食をとりながら魔術書を眺める。すると....
「うっす。」
あ.....この人は....今朝、藍と一緒にいた美歩って人....?
そして突然私の隣の席に座る。
そのまま机に肘をつき、楽しそうに話しかけてくるのであった。
「いやー、楓と優衣奈から聞いたっすよ。フィアラもカレー屋で働いてるんっすね。」
しかし....
「....だから何。っていうか何の用?」
私は魔術書を読んだまま適当に返す。
「な...なんか思ってたより辛辣っすね....いや、ちょうど3人ともトイレに...
ああっ、3人っていうのは藍と楓と優衣奈で.....」
私は基本的に人との接触や交流は好まない。
なぜなら人との関わりにほとんど興味がないからだ。
今のメンバーだって仲間意識はあっても自分から積極的な交流はしない。
そんなわけで美歩のことも適当にはぐらかしているのであった。
すると.....
「あれー?ここにいたんだ、美歩?」
優衣奈たちが戻ってきた。
美歩はすぐさまその3人のほうを見て助けを求める。
「ちょっと助けてほしいっす...!フィアラ、全然こっち興味持ってくれないんっすー...!」
そしてそれを聞いた優衣奈は....
「まあそりゃそうかもね。フィアラは人と関わるのあまり好きじゃないタイプだから。」
ちゃんと私の心理まで当てて納得していた。
さすが.....。ずっと一緒にいるだけあるわね。
「そ、それじゃあなんで楓や優衣奈とは仲いいんっすか?!
自分や藍じゃ、仲良くなれないとでも言うんっすかー?!」
それは....
「た、たぶんだけど.....!関わりがあったからじゃない...?」
すると今度は楓が話に加わる。
そしてなぜか恥ずかしそうに話を続けた。
「ほら、私と優衣奈って、フィアラの傍にずっといるから.....
自然と仲間意識っていうか、その.....」
それはそうかもしれない。
確かに私は人との交流は嫌い。
けれど、ずっと近くにいれば自然と交流も増えることになって
徐々に仲間意識が築かれていくことになる。....まあ相当嫌いな相手じゃない限りね。
それがたまたま、一緒にカレー屋で働いていた
楓や優衣奈、真乃たちだったというだけの話じゃないかしら....。
...私はおどおどする楓に代わって話を続ける。
「ええ。楓の言う通りよ。
だから美歩も、私と仲良くなりたいならもっと関わりを続けることね。」
「なんで上から目線なんっすか?!」
美歩のツッコミに笑いながら楓は言う。
「まあまあ.....けれどこれで、最初のきっかけはできたんじゃない?」
それを聞いてなるほど、と頷く藍。
そして....
「わかりました....これから毎日、フィアラちゃんも一緒にお昼食べましょう....
それならいいですか?フィアラちゃん....?」
「まあそれくらいなら....」
関わりを持つために、今後は藍たちと一緒にお昼を食べることになった。
「やったあ...!これでお友達になったのも同然ですね....!」
お友達....
だけど私にはどうしてそこまでして友達、仲間になりたいのか分からなかった。
友達が増えたら余計な交流が増えて面倒なのに....!
「...ねえ。藍や美歩はなんでそんなに私と仲良くなろうとするの?」
分からなかったので直接2人に聞いてみる。
「.....」
.......しばらくの沈黙のあと、美歩からの返答はこうだった。
「...それはー.......仲間が多いほうが楽しいからっすかね....?」
「私も同感です....!」
藍も美歩の意見に激しく頷く。
「確かに人と関わるのは大変なこともありますけど、それ以上に
皆さんと一緒に過ごす時間が、私は楽しいんです....!」
その回答を聞いて彼女たちへの意識が変わる。
楽....しい....?
人と関わることが....?
そのとき....
「フィアラ....
私も最初は積極的に友達になろうとするこの2人のことが分からなかった。
でもね、今なら分かるの.....
人と関わることの楽しさが.....」
優衣奈まで藍や美歩側につく。
そして....
「....分かったわ。今回はみんなのことを信じて友達になってあげる。
でも....余計な心配や面倒事に巻き込んだらただじゃおかないからね....?」
「だからなんで上から目線なんっすか!?」「ふふ...フィアラらしい。」
こうして私は楓や優衣奈に見守られて藍や美歩と友達になる。
人と関わることが嫌いだった私の生活は、
皮肉にもどんどん賑やかになっていくのであった...
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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