#66 平日の様子
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#66 平日の様子
11月。
これまで学校では様々なイベントごとがあった。
魔術を暴走させた体育祭に、フィレッチェたちを連れた魔術の勉強会(?)、
そして楓や優衣奈と仲良くなった文化祭....
この3ヶ月の間に、私の生活は大きな変貌を見せるのであった。
そんな11月に入って最初の日曜日の夜...。
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「...あれ!フィアラは旅行の準備しなくていいの!?」
カレー屋の仕事が終わり、片付けをしていると
楓が大きな荷物を持って部屋から出てきたのである。
「...旅行?どこか行くのですか?」
私はそんな楓のところに行って話を聞いてみる。
「何言ってんの。明日から修学旅行でしょ。」
「修学旅行.....?ああ、それなら私は行かないです。」
「え....!行かないの!?」
修学旅行については先月で既に断ることにしていた...。
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先月のはじめ。
授業が終わったあと、厚木先生はなんだか楽しそうにみんなに話しかける。
「おう!みんな、来月は修学旅行だな!!
美味しい食べ物に、美しい建造物、それからそれから.....!」
「先生が浮かれてどうするんですか.....」
委員長はこの日も冷静だ。
....修学旅行....?
はあ、私はもうここに来ただけで
毎日違う世界を旅行しているようなものよ....?
もうこれ以上遠いところなど行きたくない.....
そう思っていたら....
「...おっと、そうだな。この修学旅行は強制参加じゃないから
もし行きたくないという者がいれば早めに相談に来るように。
...まあ、できればみんなで行きたいのだがな!ハハハハハ!」
「先生....」
強制参加じゃないことを聞いた私はすぐに先生方と話をして
修学旅行をキャンセルするのであった....。
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「そんな、もったいなーい!!せっかく北海道へ行けるチャンスなんだよ?!」
珍しく楓は私の肩を揺らす。
そ、そうは言われても,...
「こらこら。そんなこと言うなよ、楓。
誰にだって行きたくない事情くらいあるだろう?」
するとここで店長が助け舟を出してくれた。
この前の体育祭のときといい、話の分かる人でほんと助かる。
「あ、そう。じゃあ私優衣奈たちと楽しんでくるからいいもーん。」
本当は私とも行きたかったのか、楓はちょっと拗ねちゃったみたい。
「やれやれ....アイツ、ほんとフィアラのこと好きだよな....」
店長が呟く言葉に私は激しく同感するのであった...。
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翌日。
修学旅行に行かないメンバーは、学年全体で数人しかいないらしい。
そのため学校には行かず家で自習という形になった。
久しぶりに平日の朝からカレー屋で過ごすことになる....。
...私は午前中、自分の部屋で魔術の本を読むことにした。
また、この期間は自習ということでプリントを数枚もらったのでそれも解くことに。
まあみんながいない間の宿題みたいなもので、それをやっていればあとは自由らしい。
プリントを解き、魔術本を読んでいるうちに、あっという間に昼になるのであった。
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ドタドタドタ.....
昼過ぎ。隣から激しい足音がする。
私はそっとドアを開け、階段から下のほうを眺めていた。
すると....
「うはー、旨そー!いっただっき....」
ドカッ!!ガシャガシャ!!
ディエルの騒ぎが聞こえ、思わず下の階へと走り降りる。そこでは....
「なんだフィアラ。休憩に入ったのか。ならばちょうどいい、コイツを手伝ってくれ。」
リアンがお客さんに運んでいたカレーを
ディエルが食べようとしたため、フィレッチェがそれを追っ払っていたところだった。
まあなんとなく予想はついてたけどね。
「おい!!俺は勇者さま....#&$"@!?!」
「はあ....。まだそれ言ってんの。これのどこが勇者さまなんだか....」
私は正面からディエルの口を抑え、フィレッチェがディエルの後ろから動きを押さえる。
そしてそのままフィレッチェと共に2階に連れ戻すのであった...。
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「...俺のカレーー!!」
2階に連れ戻すとディエルは手足をバタバタさせて叫んでいる。
まったく.....そもそもあれはアンタのカレーじゃないでしょ.....!?
すると...
「そうだ、ディエル。今日はフィアラが遊んでくれるらしいぞ。」
急にフィレッチェの裏切りが飛んでくる。
ちょっと、どういうつもり!?
「うお?!マジか!!やったぜ!!」
カレーのことも忘れてすっかりテンションが上がるディエル。
...は?
「いやいや。コイツが最近フィアラと遊びたいって言ってたんだ。
それにもう、完全にお遊びモードに入ったから
断ったら何しでかすか分かったもんじゃないぞ...?」
フィレッチェはにやけながら言う。
まるで今までの苦労を味わえと言わんばかりに。
「.......んもう、分かったわよ...!!」
私は諦めてディエルの世話をすることにした。
まったく.....この悪知恵賢者め....
あとで覚えておきなさい....!?
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「みんなただいま!!」
一方で下の階ではバーランドが買い物から戻ってきた。
食材の買い出しは真乃とバーランドが交互に担当。
さらにバーランドは夜の仕事からリアンと交代。
昼が終わるまでの数時間は休憩に入る。
ただし夜に交代したリアンはフィレッチェと一緒にディエルの世話もしていた。
バーランドはいつも午前中仕事に入ることが多いのだが
楓や優衣奈が休みの日はこうして午後に入るのだそう。
「あ、お帰りなさいバーランド。」
真乃は空いたお皿を運びながらバーランドに声をかける。
するとちょうど、フィレッチェが2階から降りてくるのであった。
「...って、あれー?!フィレッチェ!!アイツはどうしたのよ?!」
バーランドはリアンとフィレッチェのほうを交互に見ながら言う。
以前ディエルをひとりにしたところ逃走された経緯があるので、
そういうところにはかなり厳しく目を光らせるバーランドなのであった。
するとこのことに関しては隣にいたリアンが優しく教える。
「あ、あのねバーランド。それなら大丈夫よ。今日は上にフィアラもいるから....」
「あ、そっか。フィアラも休みなんだっけ。」
「休みというか自習期間な。」
そしてその声を聞いたバーランドは改めてフィレッチェのことを眺めていた。
「ふーん......どうりでアイツから解放されたような顔しているのね....」
いつもフィレッチェがディエルに困らせられているのはみんな理解している様子。
これが平日のカレー屋の日常なの....
2階でディエルの世話をしながら
フィレッチェたちの苦労がようやく理解できる私なのであった...。
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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