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まさか聖女だとは思ってなかったので雑貨屋を始めました  作者: しまりす
第一章 雑貨屋準備編
35/41

商談は順調に

その後はトントン拍子に進んだ。


セルゲイが紹介してくれたのはカイウス帝国の南に住んでいる

ライナスという男性だった。

年はセルゲイよりも少し年上といったところか。

水鏡で話をしたが、セルゲイとは旧知の間柄らしかった。


カイウス帝国の南には、地続きでバスタ国がある。

コーヒー豆の産地の多くはバスタ国なのだが、

獣人は水鏡などの魔法を介したやりとりを好まないらしく

ライナスは買い付けのことを考えてカイウス帝国の南方に居を構えたそうだ。

アウスト国出身だが、仕事のために他国へ移り住んだだけのことはある。

それはもう仕事熱心な人材だった。


最初はひたすらライナスの話を聞くことに徹した。

セルゲイからはかなり気難しい御仁だと聞いている。

仕事へのスタンス、考え方、大事にしているものなど、

まずは相手のことを知り、仕事への姿勢や信念に水を差さないように留意した。

ビジネスパートナーとして組むのだから、

素の自分を好きになってもらう必要はない。

そんな風に最初は身構えていたが、話をしていくうちに

葵がコーヒーを好きなことが伝わったらしく、

途中からはかなり盛り上がった。


最終的にこちらの要望を伝え、ライナスが見繕ったいくつかの豆を焙煎して

送ってくれるというところまで話は進んだ。

もちろんコーヒーを淹れるための器具も一緒にだ。


予想よりも早く商談がまとまったのはありがたかった。



その数日後、約束通りミハエルがルーン王国からわざわざ出向いてきてくれた。

ちゃんと、ガラス製の透明なティーポットを持って。

実際にそのティーポットを使って淹れたフルーツティーを

ミハエルとマリーと3人で飲みながら今後のことを色々と話した。


葵が森の入り口で店をやるにあたって、

カフェスペースを併設することと

お土産にフレーバーティーを販売したいことを伝えたところ

ミハエルが食いついてくれた。

カフェスペースで出す茶葉を仕入れさせてもらうことと、

葵が開発したフレーバーティーを量産してくれると言う。

量産したものは葵の店と、予定しているカフェにも置こうという話になった。


葵からの要望としては、パッケージデザインをさせてほしいというものだ。

パソコンやデジタルソフトは無さそうだが、印刷技術自体はあるらしい。

各フレーバーごとにイメージカラーをつけて、

できれば使用しているフレーバーの花柄を添えて

手に取りやすいかわいらしいデザインにしたいと考えていた。

味わいで選ぶ人も多いが、好きな色やデザインのものを選ぶ

パッケージ買いも中々楽しいものである。

若い女性をターゲットにしているのだから、尚更こだわりたい。

現在ミハエルの扱っている紅茶はいずれも格調高い雰囲気の

エレガントなデザインが多いようだ。

ミハエルとしても新しいデザインに興味があるらしく、

こちらの提案は二つ返事で了承をもらえた。


これで、葵が発注しているものが揃えば

いよいよ店でカフェスペースのオープンと、

お土産用の紅茶やコーヒーの販売ができる。

ついでにドライフルーツと、間に合えばサングリアも並べたいところである。

雑貨屋と呼ぶには大分偏ったラインナップだが、

見知らぬ世界で開店まで漕ぎ着けたのだから大きな一歩だ。



そろそろ、動く時か。


この世界のことも少しずつ分かってきて、魔法も少しは使えるようになった。

最も情報を持っていそうなカイウス帝国に行く前に、

まずはこのアウスト国の王族の知る範囲で

異界の住人について教えてもらう。


緊張と期待で、その夜は中々寝付けなかった。


商談系の話が長めだったのでこちらは少し省略していますm(*_ _)m

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