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まさか聖女だとは思ってなかったので雑貨屋を始めました  作者: しまりす
第一章 雑貨屋準備編
21/41

解毒の方法

評価&ブックマークありがとうございます!

励みになっておりますm(_ _)m

「解毒する方法は無いんですか……?」


先ほどグレイに聞いたことだが、

もう一度マリーにもぶつけてみた。

マリーは困ったように眉を寄せ、首を横に振って答える。


「通常、毒を持つ魔物が見つかると、その毒の成分が分析され、有効な解毒薬が開発されるんだけど…」

「今回の魔物の粘液を分析して、解毒薬を作れないんでしょうか?」

「恐らくだが……時間が足りない」


言いにくそうに、だがはっきりとグレイが告げる。

解毒薬の開発までに、セルゲイが持たないということである。


この世界に迷い込んだ自分が初めて会い、

助けてくれた恩人であるセルゲイを失いたくない。

マリーを1人にもしたくない。

どうにかして、助ける方法はないのか?


「解毒薬を使わずにセルゲイさんを助ける方法はないんでしょうか…!?」


マリーもグレイも黙り込んでしまう。

2人も何とか方法を考えてくれているのかもしれないが、

打開策が未だ思いつかないのだろう。

そうしている間にも、セルゲイの息は少しずつ細くなっていく。


このまま、セルゲイを失ってしまうのか。


一番辛いはずのマリーがそれでも口元に微笑みを浮かべて

優しく葵の肩を抱いてくれた瞬間、

堪えきれずに葵はぼろぼろと涙を流してしまった。

本当はマリーが真っ先に泣き出したいはずなのに、

こうして自分を励ましてくれている。


溢れた涙が頬を伝い、ポタリとセルゲイの額に落ちた。


ーその瞬間、異変が起きた。


「何だ、この光は……!」


ぼろぼろとこぼれ落ちた涙は光に変わり、

セルゲイの身体に吸収されるようにして消えていく。

あたたかみのある光が少しずつセルゲイを癒していくのが分かる。


驚いた葵の涙が止まった頃には、

セルゲイの顔色はすっかり良くなっていたのであった。


「い、今のは一体………」

『魔法よ』

「今のが魔法!?」

『本当は回復魔法はきちんと詠唱があるんだけど、アオイの涙に反応して望みが叶ったのね』

「回復魔法があったの!?」

『あるわよ?聞いてくれれば教えたのに』


葵の肩に乗っている精霊はけろっと答える。

精霊は必要以上に人間に加担しないが、

精霊の加護を受けた者が精霊に問いかければ

ある程度のことには答えてくれると言う。

だったら最初から聞けば良かった、と思うが

そもそも解毒の手段に回復魔法という選択肢があるということに

思い至らなかったのである。


「回復魔法は聖属性の魔法だ。……それより、今精霊と話しているのか?」

「聖属性…?あ……残りの2属性…」


こちらの世界に来て魔法の話を聞いた時、

水、火、土、木、金の5つの属性と、他に2つの属性があると言っていた。

聖属性の魔法が存在したということか。

葵はその可能性に自力で辿り着いても良かったのに、と肩を落とす。


「ご指摘の通り、今精霊と話しています」

「アオイ嬢……君は一体……」

「まだ詳しいことはお伝えできませんので、私のことはどうかご内密にお願いしたいです。セルゲイさんとマリーさんにもご了承いただいていますが、時期が来ればきちんとご報告しますので」

「ありがとう!!」


グレイの返答より先に、マリーが大声でお礼を言いながら葵を抱き締めた。

抱き締められた腕は少し震えていて、

顔を見るとマリーの頰にも涙が伝っている。

先ほどまでは気丈に振る舞っていたマリーも、安堵から泣いているようだ。


葵もマリーを抱き締め返し、呟く。


「本当に、良かったです」


恩人を助けることができて、本当に良かった。


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