第四十四章 論理都市の日常、管理された安らぎ
玉座の間で、太一はモニターを見つめていた。
転送室に保護された亜人たちの様子だ。
彼らは最初、怯え、隅で身を縮めていた。
ここがどこなのかわからず、
また水槽や檻に戻されるのではないかと恐れていた。
しかし、
配下の魔物たちが丁寧に対応し、
清潔な衣服と温かいスープを提供すると、
彼らの警戒は少しずつ解けていった。
エルフの少女が、
恐る恐るスープを口にした瞬間、目を見開いて涙を流した。
「美味しい…」
その一言が、他の亜人たちにも伝播する。
彼らは泣きながらスープを飲み、互いに抱き合った。
オリジナル太一はそれを見て、胸の奥が締め付けられるのを感じた。
(彼らは…ただ安心を求めていただけだ)
太一は彼らに最適化された部屋を提供した。
清潔で、安全で、食事も十分にある。
論理的には完璧な環境だ。
だが、それは彼自身が引きこもっていた六畳一間と同じではないか?
外からの危険は排除されているが、
彼らはまだこの城の中に閉じ込められている。
(俺は…彼らを救ったのか? それとも、別の檻に入れただけか?)
太一は自問した。
彼が作った論理都市は、
行き場の無い孤独な者のための避難所だ。
だが、それは「外」との接続を絶つことで成り立っている。
リーネと旅をする分身の太一は、外の世界で傷つきながらも、人と繋がっている。
彼は転送室の装置を見た。
(いつか…彼らを外へ帰してやれる日が来るのだろうか)




