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『肉塊の玉座と理の王国』  作者: ぷっぷくクリーナー


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第三十八章 観測者の警戒、情報の操作

玉座の間で、オリジナル太一はスクリーンを見つめていた。


「理の遺産」


その言葉が、彼の巨大な演算回路に深刻なエラーを走らせた。


(赤牙が探しているのは…俺の城のことか?

それとも、この世界に散在する古代の魔法遺産か?)


彼は情報を検索した。

この世界には、かつて繁栄した

古代王朝の遺産が各地に眠っているという伝説がある。

中には、強力な魔力を宿したアーティファクトも含まれる。


(もし赤牙がそれを手に入れれば…)


太一の思考が加速する。

赤牙はただの盗賊団ではない。

国家の後ろ盾がある組織だ。

彼らが「理の遺産」を探しているなら、

それは軍事利用が目的だろう。


そして、分身の太一が彼らの目に留まった。


『あの制御精度。ただの素人じゃない』


赤牙の男の言葉が反響する。


分身の力は、彼らにとって魅力的な「道具」に見えるはずだ。利用価値があるなら拉致し、邪魔なら消す。


(俺の分身が…狙われる)


太一は強い危機感を覚えた。

それは分身の危機であると同時に、

リーネの危機でもあった。


彼は即座に行動を開始した。

物理的な介入はまだ早い。

だが、情報の操作ならできる。

彼は王都のギルドネットワークにアクセスし、

下水道での件に関する情報を操作した。


「赤牙は、下水道でペットを飼っていた変人」

「依頼達成。巨大ネズミと変人を駆除。深い意味はなし」

そういう情報に書き換える。


赤牙が「理の遺産」を探していたという事実を隠蔽し、

分身の活躍を「偶然」として処理する。

同時に、彼は別のルートから情報を流した。

王都の有力貴族や軍部へ。


「赤牙が下水道で何かを探っていた形跡あり」

「警戒を強めるべし」


これは赤牙への牽制だ。

彼らが王都で派手な動きをすれば、

すぐに叩き潰されるように仕向ける。


(俺の分身とその相棒の旅のリスクを

少しでも減らしたいからな)


太一は思った。

彼らが借金を返し、笑い合い、焼肉を食う。

そんな些細な日常を。

だが、その日常は、すでに脅威に晒されていた。


(守らねばならない)


彼は玉座で拳を握った。

かつては、ただ見ているだけだった。

だが今は、守ろうとしている。

それは彼自身の変化でもあった。

分身の旅は、玉座にいる彼自身をも変えていく。


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