第二十九章 共鳴する刃、双方向の制御
戦闘開始。
カルロの傭兵団は、荒っぽいが実戦的な連携を持っていた。
リーネが前に出る。太一は後方から支援する。
リーネの剣速が上がっていく。
「リーネ! 右の奴は囮だ! 深追いするな! 後ろに下がれ!」
「あぁ、ありがとよ!」
彼女は冷静に太一の声に従った。
部下の一人が太一に斬りかかった。
太一の体が反射的に魔法を放とうとする。
範囲攻撃の火炎。これでは周囲の一般人も巻き込む。
その時、リーネの大剣が間に入り、
カルロの部下の攻撃を弾いた。
「タイチ! 目を覚ませ! 焦るな!」
太一はハッとした。自分の暴走を、リーネが止めてくれた。
カルロたちは驚愕した。
リーネが暴走しない。
冷静に、的確に剣を振るっている。
そして、その背後から太一の魔法が正確に飛んでくる。
二人は完全に連携していた。
「ありえねぇ…あの狂犬が…制御できてるだと?」
太一の雷撃がカルロの剣を弾き飛ばした。
「俺たちはもう一人じゃない! お前みたいな奴に負けるわけにはいかないんだ!」
カルロは腰を抜かして後退した。
「ひぃっ! 引くぞ! こいつらはイレギュラーだ!」
傭兵団は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
二人は肩で息をしながら、互いに向き合った。
「やったな…タイチ」
「ああ…やったな、リーネ」
太一はリーネを見て、優しく微笑んだ。
「お前は狂犬なんかじゃない。冷静で優しい剣士だ」
リーネも笑った。涙が出そうだった。
「お前も…暴走する危ねぇ魔法使いだ。でも…悪くねぇ相棒だよ」
二人の間には、確かな信頼が生まれていた。
過去の傷を共有し、互いに支え合う絆。
それは誰にも壊せない強さだった。




