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第二十七章 観測者の追憶
玉座の間で、オリジナル太一はリーネの過去を知った。
分身の視覚と聴覚を通して、
彼自身もその悲しみを共有していた。
(十年前か…俺がまだ日本で引きこもっていた頃だ)
彼は思い出す。
彼自身にも「守れなかったもの」はあった。
現実世界での自分。
教室でいじめられ、何も言い返せなかった自分。
親の期待に応えられず、部屋に閉じこもった自分。
(俺は逃げた。壁を作って、世界を遮断した)
だがリーネは逃げなかった。
悲しみを糧に剣を握り、前に進み続けた。
(そして今、彼女は俺の分身と出会い、
「守れる強さ」を見つけた)
それは彼自身が決して辿り着けなかった答えだった。
(俺も…強くなれるのか?)
玉座に座る彼は自問する。
城と同化したこの肉体で、
彼女のように誰かを守れるのか?
答えはまだ出ない。
だが、分身が見せた
「優しさ」という強さに、
彼は微かな希望を見出していた。
(お前が見つけた答えが、俺をも変える)
太一はスクリーンの向こうの二人を見つめ続ける。




