第8章 パート2 — 旅行
旅行 — カイト
通知は、画面が暗くなり始めるまでそこに残っていた。
カイトは光が完全に消える前に、一度画面に触れた。
同じ文面が、親指の下ではっきりした。
このたびは面接のお時間をいただき、誠にありがとうございました。
彼は、その先をすぐには読まなかった。
隣では、ユキがノートを開いたまま座っていて、鉛筆はページの上の方に置かれていた。居間のテーブルには、何も中断されていないみたいに、勉強道具が広がったままだった。模試の冊子、ばらばらの数学のプリント、二本のシャープペン、電卓、ユキの文学のノート、端の方に置かれた飲みかけのお茶。そばのランプは紙の上にきれいな輪の光を作り、部屋の他の部分はその周りで暗くなり始めていた。
台所からは、母が動く音が聞こえていた。
戸棚が開く。
水が流れ、止まり、それからまた流れる。
カイトはスマホを下ろした。
ユキは身を寄せることなく、彼の方を見た。「だめだったの?」
カイトは、次に何が書いてあるかもう分かっていたのに、画面を下へ送った。
慎重に検討いたしました結果、今回は別の方で進めさせていただくことになりました。
「うん」
返事は、思ったより平らに出た。
ユキの鉛筆が一度だけページに触れ、それから何も書かないまま離れた。「理由は書いてあった?」
「特には」
彼はスマホを彼女の方へ向けた。
ユキは静かにメッセージを読んだ。目が画面を下り、真ん中あたりで止まり、それから一瞬、最初の方へ戻ってから、スマホを返した。
「残念だったね」
「平気だよ」
カイトはスマホをロックし、プリントの右端近くに置いた。
目の前の数学の問題は、通知が来る前に途中まで解いていた。一行目と二行目ははっきりしている。三行目は等号のあとで止まり、その先が空いていた。
カイトはシャープペンを取った。
問題をもう一度読んだ。
それから、自分の式の一行目を見た。
次の手順は簡単なはずだった。数字を一つ書き、途中で止まり、行が終わる前にそれを消した。
ユキはプリントを見た。「今、無理に続けなくてもいいよ」
「この範囲は終わらせた方がいい」
「明日でもできる」
「途中で残すと気になる」
ユキの目がページへ動いた。「今続けても、たぶん途中のままになると思う」
カイトは自分のページを見て、鼻から静かに息を吐いた。
「……だな」
会話は、どちらが終わらせると決めたわけでもなく途切れた。
台所では、水の音が少し大きくなった。母が何か言ったが、言葉までははっきり届かなかった。カイトは一度だけ戸口の方を見てから、もう一度確認し始める前にプリントを閉じた。
やりかけのページは、表紙の下に隠れた。
ユキは少しゆっくりとノートをまとめた。
しばらくのあいだ、部屋には小さな音だけがあった。紙の端をそろえる音。椅子が動く音。窓の向こうの通りを車が通っていく音。
カイトは筆箱へ手を伸ばし、手がスマホの近くを通ったところで止まった。
取らなかった。
それでも、ユキは気づいた。
「しまうの?」
「そのつもりだった」
「今の、迷ってるみたいに聞こえた」
「迷ってない」
彼はスマホを取り、もう一度ロックを確認してから、メッセージをもう一度開く前に鞄の外ポケットへ滑り込ませた。
ユキはその動きを見て、それから自分のノートを重ねる作業へ戻った。
「よし」
「母さんみたいだな」
「褒め言葉として受け取っておく」
「そこはもう少し慎重になった方がいい」
彼女は少しのあいだ彼を見た。「明日考える」
廊下の幅木が、父の足音でかすかに鳴った。父はマグカップと、折りたたんだ仕事の書類を数枚片腕に抱えて、居間の端に現れた。
「まだやってるのか?」
「一応」とカイトは言った。
父は部屋の空気を読んだようだった。
「書店から返事が来たのか?」
カイトはプリントの上に片手を置いた。「だめだった」
父の表情は、少しだけ変わった。
「ああ」
「平気だよ」
「いつ来た?」
「今」
母も後ろから廊下に現れ、タオルで手を拭いていた。台所から、ある程度は聞こえていたのだろう。
「もう返事が来たの?」
「うん」カイトは手をそのままにした。「別の人にしたって」
母の手が、タオルの上で少し遅くなった。
「あら、カイト。残念だったわね」
「大丈夫」
返事が早すぎた。そう分かったのは、誰もすぐには答えなかったからだった。
父は部屋へもう少し入り、本棚の横に軽く寄りかかった。「そういうこともある。特に最初の面接ならな」
「分かってる」
「それでも腹は立つだろ」
カイトは閉じたプリントを見た。
「うん」
母の注意は、テーブルの端に移った。そこには、面接用のメモが、授業のプリントの下にまだ重ねられていた。練習した答え。聞く質問。入れる曜日。上のページには、カイト自身の字があった。
母はそれには触れなかった。
「決まる前に、少し話しすぎたかもしれないわね」と母は言った。
カイトは顔を上げた。
「準備しなくてよかったって意味じゃないのよ」母は付け加えた。「準備はした方がよかった。でも準備すると、まだ遠いものでも近く感じることがあるから」
父もうなずいた。「俺たちも、たぶん少し決まったみたいに考えすぎたな」
カイトはすぐには答えなかった。
「たぶん」
「だからって、あなたが何か間違えたわけじゃないわ」と母が言った。
「面接ではたぶん硬く聞こえた」
「緊張してるとき、そうなることあるよね」とユキが言った。
カイトは彼女の方を向いた。
ユキは一秒だけ彼を見返してから、ノートへ視線を戻した。
「悪いことばかりじゃないけど」
父が一度笑った。「それは丁寧に言おうとしてる悪口に聞こえたな」
「違う」
「少しそうだった」とカイトが言った。
ユキの口元がかすかに動いた。「少しだけ」
空気が数秒だけゆるんだ。
父はマグカップから一口飲んだ。「俺が卒業後に初めて仕事に応募したときは、面接をしてもらう前に三社落ちた」
母が彼を見た。「三社だった?」
「返事が来なかったところも入れるなら四社」
「それは入れていいと思う」
「数が悪くなるから、入れないことにした」
カイトは思わず父を見た。「それは数字の扱い方として違う」
「俺が話しているときはそうなる」
隣で、ユキが小さく息を漏らした。
母はユキのノートの近くにあった空の湯飲みを取った。「今夜は残りはもういいわ。二人とも明日も学校でしょう」
「分かってる」とユキが言った。
カイトはプリントをフォルダーへまとめた。数学は数学、模試の用紙はクリップの下へ戻し、電卓は鞄の中へ。いつもより動きは遅かったが、難しいことは何もなかった。ただ、他の紙がなくなると、面接用のメモが思ったより場所を取るのが面倒だった。
ユキが先に立ち上がった。
「おやすみ、兄さん」
「おやすみ」
彼女はノートと筆箱を胸に抱えて出ていった。
カイトはテーブルに残った。
面接のメモは、まだランプの近くに置かれていた。
数秒のあいだ、それを捨てることを考えた。それから紙を一度折り、通学鞄のサイドポケットに入れた。勉強用のプリントと一緒ではない。ごみ箱でもない。
別の場所。
そのあと、母に言われる前に台所へ行き、残っていた湯飲みを洗った。
あとで二階に上がってから、彼は翌日の鞄の中身を確認した。電卓は入っている。模試の冊子もある。折った面接のメモもあった。
一度、取り出しかけた。
それからファスナーを閉じた。
歯を磨いていると、階下から両親の声が上がってきた。最初は低くて、言葉まではよく聞き取れなかった。カイトは口をすすぎ、口元を拭いて、洗面台の近くで止まった。
「……土曜は空いてるはずだ」と父が言った。
母が何か答えたが、聞き取れなかった。
「落ちたことから、少し気がそれるかもしれないし……」
「寒くなる前に行くなら……」
下で椅子が動いた。
「川の方?」母が聞いた。
「ああ。前に行ったときの場所。二人、興味あるかな」
「朝に聞いてみましょう」
また少し間があった。二人の声はもう一度低くなった。
それから父が言った。「もう一つの方はまだ言わなくていい」
カイトはもう一秒だけ待ったが、その先は曖昧になった。
彼は自分の部屋へ戻った。
向かいの部屋のドアはもう閉まっていた。ユキのドアの下には、細い光が見えていた。
カイトは着替え、自分の部屋の明かりを消してから横になった。眠りはいつもより少し遅く来たが、大きく遅れたわけではなかった。時計を二度見て、そのたびに少し苛立った。
朝になると、不採用のことは前の夜ほど鋭くは残っていなかった。眠ったことで角は少し削れていたが、完全に落ち着くほどではなかった。
それでも、走りには行った。
外の空気は、一週間前より冷えていた。角の近くの道には、湿った葉が数枚、舗道に平たく張りついていて、空は乾いた夜のあとに来る初秋らしい、淡く澄んだ色をしていた。カイトはいつもの道を走ったが、最後の坂はいつものようには追い込まなかった。
朝食では、母が焼き魚を食卓の真ん中近くに置き、父が茶碗の横で新聞を畳んだ。
「昨日の夜、少し話したんだけどな」と父が言った。
母が席に着いた。「文化祭の準備のあと、月曜日が休みでしょう。せっかくだから、家族で出かけてもいいかと思って」
カイトは顔を上げた。
隣に座っていたユキは、箸を持ったまま一度止まった。「月曜?」
「桜井先生が、学校全体で代休になるって言ってた」カイトは言った。「今週、準備で遅くまで残ってる人が多いから」
「特に委員の生徒たちだろう?」父が聞いた。
「たぶん。でも、クラスごとに残ってるところも多い」
母はうなずいた。「それなら三連休になるから。寒くなる前に、少し旅行へ行くにはいい機会かもしれないって」
「どこ?」ユキが聞いた。
「川の近くの、カヤックとキャンプができる場所」と父が言った。「土曜の朝に出て、土曜の夜はキャンプ。日曜は別の場所にも寄って、月曜に帰ってくる」
ユキが一度まばたきをした。「キャンプ?」
「二人とも行ったことないでしょう?」母が聞いた。
「ない」とカイトは言った。
「カヤックも?」
「ない」
父は少し笑った。「それなら、新しいことかどうかの問題は解決だな」
「そういう言い方もあるね」とユキが言った。
カイトは父を見た。「日曜の別の場所って?」
「近くのどこかだ」
「答えになってない」
「朝食にはそれで十分だ」
ユキは両親の間を見た。「何か隠してる」
「隠してるわけじゃないわ」と母が言った。「一部をあとに残しているだけ」
「それ、隠してるのと近い」とカイトが言った。
父は、自分の立場を有利にしない表情のままお茶を飲んだ。「詳しいことは今夜話すよ。今は、二人がその案に反対かどうかだけ聞きたかった」
カイトは少し考えた。
答えはすぐには出なかったが、その計画が嫌だったからではない。まだはっきりした絵が浮かばなかっただけだった。水、借りる道具、川の近くのどこかにあるテント、それから父が説明を拒んでいる日曜日の何か。
「分からない」と彼は言った。「やったことないし」
「それは答えじゃない」とユキが言った。
「本当だろ」
母はかすかに笑った。「じゃあ、今日考えてみて」
ユキは彼を見た。「行きたい?」
カイトはご飯へ目を落とし、それから台所の近くに掛かっている印刷されたカレンダーを見た。土曜日は空いていて、そのあと書店に入るかもしれない時間になり、それからまた空いた。今度は、そこへ別の予定が置かれようとしている。
「反対ではない」と彼は言った。
ユキは一度うなずいた。「私も」
「じゃあ、今夜もっと話そう」と父が言った。「学校の前に決めなくていい」
その後、朝は続いた。
学校は、不採用のことを大きくする隙をあまり与えずに過ぎていった。
桜井先生は模試の準備について念を押した。サトシは、自分の未来があちこちから攻撃されていると文句を言った。アイコは、練習用紙を一枚埋めることは攻撃とは言わないと返した。
昼休み、カイトが返事をもらったのかと誰かが聞いたことで、サトシも書店のことを知った。
「落ちたの?」サトシは言い、それからすぐに顔をしかめた。「今の声、大きすぎた」
「大丈夫」とカイトは言った。
サトシは一秒ほど彼を見てから、椅子に少しもたれた。「でも、嫌だな、それ」
カイトはすぐには答えなかった。
「ちゃんと準備してたんだろ」サトシが言った。「だから、向こうが別の人を選んだからって、自分が失敗したみたいに振る舞うなよ」
カイトは彼の方を見た。
サトシはいつもより少しやわらかく肩をすくめた。「初めての面接って、そういうものだろ。頑張ったからって必ず通るわけじゃない。でも無駄でもない。次は何を聞かれるか分かるし、そんなに緊張しない」
アイコが彼を見た。「今の、意外とまともだった」
「俺はいつもまともだよ。誰も評価してないだけで」
ユキは隣で飲み物を開けた。「その部分は説得力ない」
「ほらな?」サトシは彼女を指さしたが、声はもう軽く戻っていた。「だから俺は深いところをあまり見せないんだよ」
その後、会話は文化祭の作業や模試の話へ移っていった。カイトは話しかけられれば答え、弁当を食べ、時間を確認したのは一度だけだった。
放課後、帰り道は書店へ続く通りの前を通った。
交差点の向こうに看板が見えたが、配送トラックに一部を遮られていた。午後でも窓の中には温かい光が見え、店内では誰かが本の束を胸に抱えて棚の間を動いていた。
カイトは歩き続けたが、新しく採用された人がもう働き始めたのかどうかは、考えずにはいられなかった。
隣で、ユキはそのことには何も言わなかった。
次の横断歩道で、彼女は聞いた。
「カヤックって、何着るの?」
「乾きやすい服じゃないか」
「もう考えてたの?」
「少し」
「行きたいか分からないって言ってたのに」
「考えるほど、楽しそうな気がしてきた」
ユキは前方の信号を見た。「カヤックが?」
「それもある」
「他は?」
「キャンプしたことないから」
「本当にキャンプ?」
「父さんはそう言ってた」
信号が変わり、二人は駅へ向かう何人かの生徒と一緒に渡った。後ろで自転車のベルが鳴り、縁石の近くに集まった葉の上をタイヤがこする音が続いた。
向こう側へ渡ってから、カイトは彼女を見た。「ユキは?」
「私?」
「俺のことばかり聞いてる」
ユキは縁石の近くの浅い水たまりを避けながら歩調を少し変えた。「まだ分からない」
「それは答えじゃない」
「本当だよ」
カイトは彼女を見た。
彼女は前を向いたままだったが、口元が少し動いた。「兄さんがそれを使っておいて、私が使ったら文句言うのは違う」
「文句は言える」
「言わない方がいい」
二人は閉まっている店のひさしの下を通った。そこでは、空気に埃と古い雨水の匂いがかすかに混じっていた。
「カヤックは楽しそうだと思う」少しして、ユキが言った。「たぶん。落ちなければ」
「たぶん落ちない」
「たぶん?」
「川の状態までは保証できない」
「それ、安心できない」
「じゃあ、落ちない」
「今度は嘘っぽい」
カイトは鼻から小さく息を吐いた。「難しいな」
「兄さんの安心させ方が下手なんだよ」
カイトは少しだけ道路の方を見てから、また彼女を見た。「じゃあ、俺のカヤックを近くにしておく」
ユキの足取りが半歩だけ乱れた。
「私が落ちたときのため?」
「流れで離れすぎたときのため」
「穏やかな水だって言ってなかった?」
「たぶん」
「また。安心できない」
「じゃあ、ユキがもっと安心できるように」
彼女はまた前を向いたが、声は少しだけやわらかく出た。「それ、意味分からない」
「十分通じる」
書店へ続く通りは、二人が住宅街の方へ進むにつれて遠くなっていった。
ユキは歩道の端に集まった落ち葉を見下ろした。「キャンプの方が想像しにくい」
「テントで寝ること?」
「それも。外で食べることも。知らない場所で洗うことも。虫も」
「虫?」
「虫はいるよ」
「秋だぞ」
「カレンダーが変わったからって、虫はいなくならない」
「それはそう」
彼女は彼を見た。「そこは否定するところでしょ」
「嘘はつきたくない」
「また安心できない」
今度は、カイトも小さく笑った。声にはほとんどならなかったけれど。
数歩のあいだ、二人とも話さなかった。隣の道は、生徒たちがそれぞれ別の通りへ分かれていくにつれて少しずつ静かになり、空気には夕方の前の、冷たく乾いた縁があった。
「嫌ではないと思う」とユキが言った。
カイトは彼女を見た。
「違うことだし」彼女は続けた。「でも、それでもいいかもしれない」
その答えは簡単だったが、数歩のあいだカイトの中に残った。
「うん」と彼は言った。「そうかも」
ユキはまた前を向いた。「ひどかったら、少なくとも月曜は休みだし」
「回復用か?」
「うん」
「現実的だな」
「誰かがそうしないと」
その会話は、家に着くまで二人の間に残った。靴の話から、川の水は冷たいのか、何を持っていって食べるのかへと移っていく。自分たちの通りが見えるころには、書店のことはもうカイトの意識のいちばん前にはなかった。
夕食のとき、父はキャンプ場のサイトから印刷した紙を持ってきて、醤油差しの近くに置いた。
母がそれを料理から少し遠ざけた。「地図に醤油で味つけしないで」
「ルートが覚えやすくなる」
「読みにくくなるだけです」
「川の近くだけだろ」
母は少しのあいだ父を見てから、その紙をカイトの横へ置いた。「じゃあ、カイトが守って」
カイトは横に置かれた紙を見た。「責任が増えた気がする」
ユキは茶碗を見下ろしていたが、口元が少し動き、すぐに直された。
カイトは、端が茶碗の近くで丸まる前に紙を持ち上げた。
「午後にカヤック。自然の中のキャンプ場で設営して、外で夕飯を作って、一泊。日曜の朝は出る前に川の近くを少し歩くかもしれない」
母が付け足した。「ライフジャケットとパドルは向こうで借りられるって。着替えとタオル、上着、食べ物は持っていく。リストは作るわ」
「もうあるでしょ」とユキが言った。
「最初の形だけ」
「それはリストがあるってことだよ」
母は笑った。「じゃあ、あるわね」
カイトは食べながら地図を見た。川はキャンプ場の周りを曲がり、小さな桟橋の近くで少し広がっていた。初心者用のルートは十分短そうに見えた。
「カヤックはいつ返すの?」カイトが聞いた。
「日曜の午後」と父が言った。「一泊で借りる」
「じゃあ土曜に借りて、カヤックでキャンプ場まで行って、日曜にレンタルの場所まで戻る?」
「その予定だ」
父はなぜか少しうれしそうだった。「じゃあ、行くのは嫌じゃないんだな?」
カイトは一度、ユキを見た。
彼女は今、地図を見ていて、指を印刷された川の曲線の近くに置いていた。
「嫌ではない」とカイトは言った。
「私も」とユキが言った。「楽しそうではある」
母の表情がやわらいだ。「じゃあ、今夜予約を確認しておくわ」
「先にまだ必要な道具を確認しないとな」と父が言った。
カイトは地図から顔を上げた。「キャンプ道具、もうあるの?」
「少しね」と母が言った。「思っているよりはあるわ。あなたたちが生まれる前に、お父さんと何度かキャンプとカヤックに行ったことがあるから。ただ、四人分には足りないけど」
ユキが顔を上げた。「カヤックに行ってたの?」
「何度か」と父が言った。
ユキの注意が二人の間を動いた。「どこへ?」
「町の北の方の川が多かったわ」と母が言った。「一度だけ湖にも行ったけど、あれはあまりうまくいかなかったわね」
カイトは父を見た。「なんで?」
父はお茶を飲んでから答えた。「風だな」
母が付け足した。「それでも大丈夫だって言った人がいたから」
「最終的には大丈夫だった」
「岸に戻ったあとでね」
ユキは茶碗を見下ろしていたが、口元が動いた。
「大変そう」と彼女は言った。
父は印刷された地図へうなずいた。「このルートならもっと楽なはずだ。前に行ったことがある」
カイトは紙の上の薄い青い線をもう一度見た。「同じところ?」
「同じ川のルート」と母が言った。「私たちが行ったときは穏やかだったわ。レンタルのところで説明もしてくれるし、流れも初心者向けには十分ゆるいみたい」
「風のある湖よりは安心できるね」とユキが言った。
「風がなければ湖もいいのよ」と母が言った。
父は少しだけ不満そうに見えた。「あの湖は勉強になった」
「天気予報を読むのも勉強になるわ」
カイトは、また茶碗の近くで端が丸まる前に地図を持ち上げた。
「テントはある」と父が言った。「四人用だ。少し狭いかもしれないが、たぶん大丈夫だろう」
「たぶん?」カイトが聞いた。
「明日、庭で張って確認する」
母は父を軽く見た。「旅行そのものより、道具の方がうれしそうね」
「キャンプ道具も旅行の一部だ」
「キャンプより道具が好きそうに見えるけど」
「そんなことはない」
「前にランタンを二回磨いていたでしょう」
父は少し止まった。「ランタンは便利なんだ。周りを全部照らせる」
ユキは茶碗を見下ろしたが、口元が動く前に直そうとしていた。
カイトは印刷された紙へ目を戻した。「他には何があるの?」
「寝袋が二つ」と母が言った。「マットが二枚。小さなコンロ、鍋が一つ、やかん、折りたたみ椅子が二脚、ランタンが一つ、クーラーボックス」
「それ、まだ二人用のキャンプに聞こえる」とユキが言った。
「だいたいは二人で行っていたからな」と父が言った。
母はかすかに笑った。「それでも、たいてい持っていきすぎていたけど」
「準備だ」
「一度、ロープを三種類持っていったわよね」
「ロープは種類によって使い道が違う」
カイトは父を見た。「それ、俺が修学旅行の荷物を詰めるときみたいだ」
「兄さんは必要以上に慎重だから」とユキが言った。
父は二人を見比べた。「うちのキャンプ道具がここまで審査されるとは思わなかった」
「話し始めたのはあなたでしょう」と母が言った。
「装備を確認しただけだ」
「それで十分だったわ」
父はカイトを見た。「だから準備は大事なんだ。何年経っても、何を詰めたか人に覚えられる」
カイトは地図を見下ろした。「じゃあ、俺も慎重に詰める」
「二人で励まし合わないで」とユキが言った。
母はお茶に口をつけながら笑った。「もう遅いわね」
ユキが小さく笑う音が聞こえた。彼女はそれを隠すように、すぐお茶を飲んだ。
父は、自分の主張が崩れていないみたいに続けた。「とにかく、足りないものは母さんと俺でどうにかする。追加の寝袋、マット、ランタンをもう一つ、大きめのタープもあった方がいいかもしれない。将来も使えるものを買っておく」
「調理道具もね」と母が付け足した。「コンロは今あるもので足りると思う。あとはガス缶を確認しないと」
カイトは頭の中でリストを追った。寝袋。マット。ランタン。タープ。コンロ。調理道具。食べ物。ごみ袋。タオル。着替え。話すほど複雑になっていったが、悪い感じではなかった。
父はカイトとユキを見た。「実は、一つだけ二人に任せたいことがある」
ユキが用心するように見た。「何?」
「食べ物の計画」
カイトは止まった。「全部?」
「土曜の午後から日曜の昼まで」と母が言った。「日曜の夜と月曜の朝はこっちで考えるわ」
カイトは父を見た。「説明しない場所のせい?」
「本当に心配するような大きなことじゃない。旅行の最後に少しだけあるお楽しみだ」
「やっぱり怪しい」
「考えすぎなければ怪しくない」
母は慣れた様子で父を無視した。「難しいものにしなくていいのよ。キャンプ場であまり手間をかけずに食べられるものを考えて。コンロで作れるもの、朝ご飯、おやつ、飲み物。そういうもの」
「買いに行くの?」ユキが聞いた。
「よければ明日の放課後に」と母が言った。「予算と、忘れない方がいいものの簡単なリストは渡すわ。あとは二人で決めて。よければ、お父さんのパソコンも使っていいし」
カイトはユキを見た。
彼女はまだ地図を見ながら考えていた。
「キャンプの食べ物」と彼女は言った。
「食べ物だろ」カイトは言った。「買えばいい」
「うん」
その後も、夕食の会話は旅行の話のまま続いた。父は天気予報を確認すると言い、母は物置で古いグラウンドシートを探すと言った。ユキはマシュマロは食べ物に入るのかデザートに入るのかと聞いた。カイトは砂糖に入ると答え、ユキに、それは質問の答えになっていないと念を押された。
食器が空になるころには、地図は食卓を回り、封筒の裏にリストが書き始められ、土曜日はもう空白ではなくなっていた。
夕食のあと、カイトとユキは食卓を片づけるのを手伝った。台所には焼き魚と麦茶の匂いがかすかに残り、流しの上の窓は、二人の動きをやわらかく歪めた形で映していた。
ユキが皿を渡した。「じゃあ、明日はキャンプの食べ物を買うんだね」
「そうみたいだな」
「落ち着いてるね」
「買い物だろ」
「キャンプ場用の買い物だよ。違うよ」
カイトは皿をすすぎ、水切りかごに置いた。「おにぎり、肉、野菜、飲み物、朝食、おやつ」
「それから、いつも台所にあるから考えないもの」
「塩。ナプキン。ごみ袋」
「ウェットティッシュ」ユキが付け足した。
「それは食べ物じゃない」
「忘れたくない」
彼女は少しのあいだ彼を見た。
「何?」
「何でもない。少し兄さんらしく聞こえた」
カイトはもう一秒だけ流水の下に手を置いてから、蛇口を止めた。
「昨日よりはいい」
「よかった」
「完全にじゃないけど」
「分かってる」
彼は彼女の方を見た。
ユキは食卓から次の皿を取り、彼に渡した。彼の答えに特に驚いた様子はなかった。ただ、彼が受け取るのを待ってから、箸を拾って流しへ運んだ。
食堂の方から、両親の話し声が流れてきた。父はテントのポールを確認することについて何か言っていた。母は、確認するなら袋から見えているものだけではなく全部のポールよ、と答えた。
カイトは皿を洗った。「まだ気にはなる」
ユキは一度うなずいた。
「でも今日は、他に考えることがあった」
「お父さんがまだテントを張れるかどうか、とか」
「それは大事かもしれない」
「すごく大事かもしれない」
カイトは皿を水切りかごに置いた。「テントが崩れたら、誰のせいか分かるな」
「お母さんじゃない」
「違う」
食堂から父の声がした。「聞こえてるぞ」
ユキは振り向かずに答えた。「じゃあ、ちゃんと張って」
「そのつもりだ」
母が低く何か言い、父はすぐには返事をしなかった。あまり説得力のある間ではなかった。
ユキはカイトを見た。そして今度は、彼に笑った。
小さく、形になる前に消えてしまいそうな笑みだった。それでもカイトは、それが彼女の顔を変えるのに気づいた。その考えをどうすればいいのか分かるほどではない。ただその一秒、台所の明かりも、買い物のリストも、周りにある予定も、その表情の方へ少し集まったように感じられた。
旅行は、空いた週末に置かれた予定というより、二人とも行くことにしてよかったと思えるものに、少し近づいた。
あとで、昨日やり残した課題をカイトが終えてから、買い物リストを仕上げることになった。
同じランプがついていた。同じテーブルの上に、模試のプリントとシャープペンがあった。今度は、カイトは前の夜に閉じたプリントを最後まで終わらせた。答えを確認し、符号の間違いを一つ直してから、ページを横に置いた。
向かいでは、ユキが先に文学のノートを終えていた。シャープペンにキャップをはめ、ノートを脇へ滑らせ、それからスマホに手を伸ばした。
「終わった?」カイトが聞いた。
「うん」
「早かったな」
「ほとんど終わってたし」
彼女はカイトのプリントへ少し身を寄せた。「見せて」
「まだ確認し終わってない」
「もう二回確認してた」
「一回半だ」
「そんな数字はない」
「分数を忘れてる」
それでもユキは手を差し出した。カイトはプリントを渡した。
彼女は問題をすばやく読み、目を一行ずつ下へ動かしていった。長く止まることはなかった。それから、最後から二つ目の手順を指で軽く叩いた。
「ここは大丈夫」
「驚いてるみたいだな」
「驚いてない」
「止まった」
「読んでたの」
ユキはそれを無視して、最後の答えをもう一度見た。「合ってる」
カイトはプリントを受け取った。
その答えは、本来なら大したことではないはずだった。問題は一つだけで、彼女もいつものように、お互いの答えを確認するように見ただけだった。それでも前の夜のあとでは、ページが終わっていて、間違っていないことが、思っていたよりよかった。
彼はそれをフォルダーに入れた。
ユキはスマホのロックを外し、メモを開いた。「じゃあ、食べ物のリスト作るね」
「スマホで?」
「送るのが楽だから」
「それはそうだな」
ユキは彼を見た。「受け入れるの早いね」
「スマホに反対してるわけじゃない」
「紙の方がよさそうな顔してた」
「紙の方が見やすい」
「スマホは醤油がつきにくいよ」
「落としたときは紙より困る」
「じゃあ落とさなければいい」
カイトは彼女のスマホを見た。「持ってるのはユキだろ」
「私は気をつける」
「さっき地図で紙で指を切りかけてた」
「あれは地図の攻撃力が高かったから」
カイトは一秒ほど彼女を見た。「地図に攻撃力はない」
「傷を負わせられるものにはある」
「角に触ったのはユキだ」
「攻撃された」
彼は鼻から小さく息を吐いた。「じゃあスマホの方が安全だな」
「さっきからそう言ってる」
ユキはまた入力し始めた。
会話は課題と食べ物の間を行き来し、そのうち、どちらも同じ夜の一部になっていった。カイトがもう一問解いているあいだ、ユキはリストに品目を足し、ときどき画面から目を上げないまま彼に質問した。
「朝ご飯」彼女が言った。「何がいい?」
「おにぎり?」
「昼にもおにぎりいるでしょ」
「じゃあパン」
「パンはつぶれるって言ってた」
「つぶれる」
「じゃあなんで選ぶの?」
「つぶれても栄養は同じだから」
カイトは答えをもう一行書いた。「卵は?」
「カヤックに卵持っていくの?」
「先にゆでておくとか」
ユキは少し考えてから、何か入力した。「一応」
「一応って書いたのか?」
「ゆで卵、疑問符つき」
「そっちの方が悪い」
「慎重さが出てる」
彼は彼女のスマホを見た。「お茶のパックも入れて」
「もう入れた」
「紙コップは?」
「それも入れた」
「ウェットティッシュ」
ユキはスマホを彼の方へ向けた。
ウェットティッシュはもうリストに入っていた。
カイトはそれを見てから、彼女へ目を戻した。「分かった」
「忘れてるか確認してたでしょ」
「何が入ってるか見てただけだ」
しばらくして、ユキは果物、水のペットボトル、バーベキュー用の野菜、おにぎり、パン、お茶のパック、紙コップ、割り箸、ナプキン、ごみ袋、それからマシュマロを足した。
最後の項目を入力してから、反対されるかどうか試すように彼を見た。
カイトは何も言わなかった。
「終わったら送って」と彼は言った。
「送るつもりだった」
「今夜?」
「忘れる前に」
「それは今だな」
ユキは鼻から小さく音を出したが、送った。
一秒後、カイトの鞄の中でスマホが震えた。
彼は取り出してメッセージを確認した。
キャンプの食べ物リスト
その下には、ユキがすべてをきれいに分類して書いていた。
昼/夜。
朝。
飲み物。
忘れないもの。
カイトは必要以上に数秒長く画面を見てから、ロックした。
勉強を終えると、カイトはフォルダーをしまおうとして鞄を開けた。指がサイドポケットの中の折った面接メモに触れた。
彼はそれを引き出した。
紙にはまだ、前の夜に折った跡が残っていた。
しばらく、上のページにある自分の字を見た。
聞く質問。
入れる曜日。
彼はメモをもう一度折った。今度は前より小さく。それからそれぞれ部屋へ戻ったあと、二階の自分の机の奥の引き出しに入れた。
捨てたわけではない。どこか別のところに応募するとき、また必要になるかもしれない。
ただ、鞄を開けるたびに見える場所ではないところに。
机の上、数学のノートの横には、父から確認するように渡されたキャンプ場の印刷ページを置いた。スマホも近くに置かれていて、画面はもう暗い。その中には、ユキのリストが保存されている。
川のルートは、紙の上を薄い青い線で曲がっていた。横には、レンタル受付、駐車場、洗い場、テントサイトを示す小さな記号があった。朝には、それはただ地図の上の場所だった。今は少しずつ、準備するものになり始めていた。
カイトはもう一度スマホのロックを外した。
ユキのメッセージはまだそこにあった。
キャンプの食べ物リスト
彼女はそれを項目ごとに分けていた。
土曜の昼。
夕食。
朝食。
飲み物。
忘れないもの。
下の方、ウェットティッシュとごみ袋のあとに、マシュマロと書かれ、そのあと括弧つきで、チョコビスケットもありかも、とあった。
カイトはそこを他より少し長く見てから、入力した。
了解。
数秒後、返信が来た。
あまり並べ替えないでね。
カイトはそのメッセージをしばらく見た。
しない。
また少し間があった。
それ、もうしたいってことだよね。
カイトは返そうとして、それから証拠を与えないことにした。
スマホをロックし、地図の横へ戻した。
廊下の向こうで、ユキのドアが一度開いた。足音が洗面所の方へ進み、数分後に戻ってきた。彼女のドアは、いつもの静かな音で閉まった。
カイトは机の明かりを消した。
部屋は窓から入る薄暗い光の中に沈んだ。外では車が道を通り、ヘッドライトが天井を短く滑ってから消えた。
彼は寝る服に着替え、目覚ましを確認し、スマホを画面を下にして机に置いた。
面接のメモは、まだ引き出しの中にある。それは分かっていた。けれど、もう鞄の中で待っているわけではなかった。
明日、食べ物を買う。
土曜には、出発する。
その予定はまだ見慣れなかったが、嫌なものではなかった。
カイトはベッドに入り、布団を引き上げた。不採用のメールは完全に消えたわけではない。まだ一日の後ろのどこかに残っていた。ただ、引き出しの中のメモみたいに、前より小さく折りたたまれていた。
眠気は少しずつ近づいてきた。
本当なら、その日は不採用で終わるはずだった。しばらくは、カイトもそうなると思っていた。けれど今、考えが流れ始めても、書店からのメッセージだけに戻るわけではなかった。
机の上の地図へ行く。
スマホの中で待っているユキのリストへ行く。
土曜の朝へ行く。
それ以上に、台所で彼女が向けた、あの短い笑みに戻っていった。
そのときは大したことには見えなかったが、夕食のあとに作ったリストよりもはっきり残っていた。旅行がただ両親に用意されたものではなく、自分もそこにいるのがよかったと思えるものに変わったのは、たぶんあの瞬間だったのだと、カイトは思った。
彼は一度、横向きになった。
今度、時計を見ても、苛立ちはしなかった。
数分後、眠りに落ちた。




