表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿版】異世界転移した俺は万能スキルでスローライフを謳歌する  作者: みなと劉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/37

6 異空間の寝室で寝て翌朝狼?と仲良くなる

 ベッドに腰掛けた瞬間、思った。

 ここは異空間なのかもしれない、と。

 沈み込む感触が、今まで経験したどのベッドとも違った。柔らかいのに、ちゃんと体を受け止めてくれる。弾力があるのに、跳ね返してくる感じがない。試しにそのまま横になると、体の輪郭に沿うようにマットレスがなじんでいく。

「すごい……これ、すごいな」

 思わず声に出た。枕の高さも、掛け布団の重さも、全部俺にとってちょうどいい。この能力、本当に俺の「好み」を正確に把握しているらしい。

 電気を消して目を閉じると、あっという間に意識が遠のいた。夢すら見なかった。ただ深く、静かに、眠った。


---


 翌朝、外から声のようなものが聴こえた。

 鳴き声、とも呼べるし、そうでないとも言える。よく聴くと、何かがそこにいる気配がする。俺は着替えを済ませて、玄関のドアを開けた。

 いた。

 玄関先に、大きな動物が座っていた。犬、にしては体格がよすぎる。狼、と言われればそうかもしれない。毛並みは灰色がかった銀色で、目が澄んでいる。そしてその尻尾が、わっさわっさと左右に揺れていた。

「わうん!わうん!はっは!」

 敵意はない。それだけははっきりわかった。むしろ好意が全身からあふれ出している。ただ、何を言っているのかがわからない。

(話が通じれば、な)

 そう思った次の瞬間だった。

「ここは、貴方様のおうちでしょうか?」

 はっきりとした声で、そう聴こえた。

(え。今、喋った?)

 俺は目を丸くしながらも、とりあえず答えた。

「そうだけど」

 すると相手の尻尾がさらに高速になった。もはや残像が見える。

「是非とも!お肉などを分けていただけないかと思いまして!」

 涎が出ていた。真剣な目で、涎を垂らしながら、尻尾を全力で振っている。なんというか、憎めない。


---


「ちょっと待ってね」

 俺は心の中で念じた。

*この子が好きな肉。*

 ぽんっ。

 手の中に、肉の塊が現れた。

「こ、これは……ラビッタの肉!?」

 相手の目が見開いた。

「どっから出たんですか!?いま、空中から突然出てきましたけど!?」

「あ、これ俺の能力らしい」

「す、すごい能力ですね……!」

 しばらく絶句してから、また尻尾を振り始めた。立ち直りが早い。


---


 せっかくだから、一緒に食べようと思った。

 簡易コンロに、外用のコンロ置き、腰掛け、アウトドア用のテーブルにまな板。頭の中でまとめて念じると、

 ぽんっ、ぽんっ、ぽんっ。

 玄関先に一式が揃った。コンロは永久式のものが出てきた。燃料を気にしなくていいのは助かる。

「これで何をするんです?」

 銀色の狼がテーブルを覗き込みながら尋ねてくる。

「俺も食べたいからね。焼こうかと思って。君は生でも大丈夫?」

「生も好きですが……焼いたものも大好きです!同じようにお願いできますか!」

 尻尾の速度が、また上がった。

「わかった。同じように焼くよ」

 俺はまな板の上に肉を置いて、包丁を手に取った。

 異世界の朝、玄関先で、狼と並んで朝ごはん。

 転移初日よりさらに状況がよくわからなくなってきたが、悪い気はしなかった。


---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ