44 夕飯は魚料理をしてみよう
今日の夕飯は、たまには魚料理にしてみようと思う。
肉や揚げ物が続いていたから、ここらで魚の出番だ。
問題は、どの魚をどう調理するかである。
(ふむ……鮭にするか)
「鮭の切り身、調理用」
ぽんっ。
テーブルの上に、スーパーのトレイに入った鮭の切り身が現れた。
鮮やかなオレンジ色の身に、銀色の皮。
見るからに脂がのっていそうだ。
ラップを剥がして、まずトレイの上から塩を振りかける。
これには理由がある。
塩を振ることで、鮭の身から余分な水分が引き出されてくるのだ。
しばらく置いてからキッチンペーパーで拭き取れば、水分と一緒に魚特有の臭みも落とせる。
この下処理をするかしないかで、仕上がりの風味がはっきり変わる。
臭みを残したまま調理してしまうと、せっかくの魚料理が台無しになることもある。
特に魚の臭いが苦手な人にとっては、この一手間の有無は大きい。
俺自身、魚の臭みはあまり得意ではない。
だからこそ、ここは丁寧にやっておく。
しばらく置いて、滲み出てきた水分をキッチンペーパーで丁寧に拭き取った。
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さて、どう調理するか。
少し考えて、決めた。
「アルミホイル」
ぽんっ。
テーブルの上に、アルミホイルの箱が現れた。
必要な分を引き出して切る。
今日作るのは、いわゆる「鮭のホイル焼き」だ。
アルミホイルで具材を包んで蒸し焼きにする調理法で、素材の旨みを閉じ込められるのが魅力だ。
油もほとんど使わないから、後片付けも楽で、味もあっさり仕上がる。
「カットしめじ、粗みじん切りの人参」
ボウルを用意して念じると、その中にカットしめじと粗みじん切りの人参が現れていた。
最初から切られた状態で出てくるのは、本当に便利だ。
下ごしらえの手間が省ける。
切ったアルミホイルの上に、鮭の切り身を置く。
その周りにしめじと人参を散らして、上から砕いたコンソメを振りかける。
コンソメが蒸し焼きの蒸気と混ざることで、全体にしっかりと旨みが行き渡る。
アルミホイルをしっかりと閉じて、空気が漏れないように包み込んだ。
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フライパンをコンロに置いて、ホイルの閉じ口を下にして置く。
こうすることで、加熱中に開いてしまうのを防げる。
火にかけて、フライパンが温まってきたところで蓋をする。
ここから15分、じっくりと蒸し焼きにしていく。
直火ではなく、蒸気で内側からも熱を通すことで、鮭がふっくらと仕上がる。
火が強すぎると焦げてしまうから、弱めの中火を保つのがコツだ。
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蒸し焼きの時間を使って、味噌汁の準備をする。
今日は玉ねぎの味噌汁にしよう。
玉ねぎを薄くスライスして、沸騰した片手鍋に入れる。
今日のだしはうどん出汁を使うことにした。
玉ねぎは煮ると甘みが出るから、だしとの相性がいい。
しばらく煮込んで玉ねぎが柔らかくなってきたら、麦味噌を漉し棒で漉しながら溶かしていく。
味噌は煮立てすぎないよう、火を止める直前に加える。
ふんわりと立ち上る湯気の中に、麦味噌の甘い香りと、煮えた玉ねぎの優しい香りが混ざり合った。
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15分が経った。
フライパンの蓋を取って、アルミホイルを皿に移す。
包みを開けると、ふわっと蒸気が立ち上った。
鮭はふっくらと色づいて、しめじと人参が彩りを添えている。
コンソメと魚の旨みが混ざった香りが、食欲をそそった。
炊きたてのご飯をよそって、玉ねぎの味噌汁を椀に注ぐ。
夕飯の完成だ。
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「これは?」
メセタが皿を覗き込んだ。
「鮭のホイル焼きだよ。このアルミホイルっていう薄い紙みたいなやつで包んで、中で蒸し焼きにするんだ」
「ほへえ……そんな料理もあるんですね。この銀色のやつで包むとは」
「鮭だけじゃなくて、鯖や鯛なんかもこの方法で美味しく調理できるんだよ」
「魚にも色々あるんですね……」
「海の魚は種類が豊富だからな。それぞれ味も違う」
メセタの分のアルミホイルを、箸で割いて食べやすくしてやる。
ふわふわの鮭の身が、ほろりとほぐれた。
「では」
「「いただきます」」
まず鮭をひと口。
箸を入れると、身がほろりと崩れた。
脂がのっていて、噛むとじゅわっと旨みが広がる。
塩で下処理をしたおかげで臭みは一切なく、鮭本来の甘みだけがしっかりと感じられた。
しめじの食感と人参のほのかな甘みが加わって、コンソメの旨みが全体をまとめている。
蒸し焼きにしたことで、素材それぞれの味が一つに溶け合っていた。
味噌汁を啜る。
煮えた玉ねぎがとろりと甘くて、麦味噌のだしと混ざって優しい味わいだ。
体の芯がじんわり温まる。
「「美味あ!!」」
また声が揃った。
「鮭というのは、こんなに美味しいのですね……!」
メセタが目を輝かせながら、ほぐした身をもぐもぐと食べている。
「魚もいいだろ?」
「いいです!肉とはまた違った美味しさがあります!」
今日の鮭のホイル焼きも、ふたりで仲良く平らげた。
茶碗のご飯も、味噌汁も、きれいに空になった。
魚料理の夜も、なかなか悪くなかった。
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