↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿版】異世界転移した俺は万能スキルでスローライフを謳歌する  作者: みなと劉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/49

13 メセタははじめてミートソースを食べる

 家の中に戻ると、メセタがソファに飛び乗った。

「我が君!?これめっさふかふかです!!」

「そうなんだよ。迂闊に座ると眠くなるんだよな……あれ?」

「………………すぅ」

 寝ていた。

 着地して三秒も経っていない。銀色の毛並みがゆっくりと上下している。よほど気持ちいいらしい。

(まあ、いいか)

 起こすのも悪い気がして、俺はそっとキッチンへ向かった。昼食の準備をするにはちょうどいい時間だ。


---


 何を作ろうか。

 パスタがいいな、とぼんやり思った瞬間、

 ぽんっ。

(ん?)

 テーブルの上に、パスタが現れた。袋を手に取ると、見覚えのあるブランドだった。しかも1kg入りだ。

(太っ腹だな、俺の能力)

 続けて必要なものを頭の中で並べていく。トマト缶、合い挽き肉、にんにく、玉ねぎ、コンソメ、缶切り。

 ぼんっ。

 一際大きな音がして、テーブルにずらりと食材が並んだ。にんにくの鱗片が転がっていくのを手で押さえながら、俺は缶切りでトマト缶を開ける。ぷんと酸味のある香りが立ち上った。


---


 まずは下ごしらえだ。

 玉ねぎを包丁でみじん切りにする。目に染みてくるのを堪えながら、細かく、均等に刻んでいく。続いてにんにくの皮を剥いて、同じようにみじん切りにした。まな板の上に、白と白の小さな粒が並んだ。

 オリーブオイルを念じると、ボトル瓶が出てきた。ラベルを見ると聞き慣れないブランド名が書いてある。まあ、市販の上質なものだろうと判断して、フライパンに少し回しかけた。

 火にかけると、じわじわとオイルが温まり始める。玉ねぎとにんにくをフライパンへ。

 じゅうっ。

 香りが一気に広がった。にんにくの刺激的な香ばしさと、玉ねぎの甘い匂いが混ざり合って、キッチン全体に漂っていく。木製ヘラで炒めながら、小麦粉を大さじ一杯加えてさらに混ぜる。全体がなじんだところで、トマト缶をどっと流し込んだ。

 赤い液体がフライパンに広がって、ぐつぐつと煮え始める。水を加えてコンソメを二包、ソースとケチャップも加えて、ヘラでゆっくりとかき混ぜる。

(いい匂いだ)

 胃袋が素直に反応している。トマトの酸味とコンソメの旨みが合わさって、煮詰まるほどに甘みが増していく。これはいけそうだ。


---


 しばらくして、ソファの方からぱたぱたと足音がした。

「……なんです?この良い匂いは」

 メセタが眠そうな目をこすりながらキッチンを覗いている。

「起きた?ミートソース作ってる」

「ミートソース!?なんですかそれ!?」

 さっきまでの眠気はどこへやら。尻尾が揺れ始めた。

「あとは煮立てるだけだからもう少し待ってて」

「はーい」

 メセタはカウンターの縁に顎を乗せて、フライパンをじっと見つめていた。鼻がひくひく動いている。匂いだけで十分に惹きつけられているらしい。

 頃合いを見て火を止めた。

「できた」

 小さなスプーンにソースをひとすくいして、少し冷ましてからメセタの前に差し出す。

「これがミートソース?」

「そう。食べてみて」

「……あむっ」

 一瞬、時が止まったように静かになった。

 メセタが何かを言おうとして、言葉を探しているのがわかった。口の中でゆっくりと味を確かめているのだろう。トマトの酸味、肉の旨み、にんにくの香り、コンソメの深み。それが全部ひとつになって、初めて口にした者を戸惑わせるくらい複雑で、でも間違いなく美味しい味のはずだ。

「……うん!?」

 目が開いた。

「美味あ!?なんですかこれ!?酸っぱいのに甘くて、肉の味もして……全部が一緒になってるのに、ちゃんとそれぞれわかる……!!」

 尻尾が全力になった。

「気に入ってくれてよかった」

「パスタというものにかけて食べるんですよね!?早くしてください我が君!!」

「せかすな」

 俺は苦笑しながら、鍋に湯を沸かし始めた。


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。