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第6話 その7 「演説アジテーション②」

「お前まで、ノクスリアを敵視するんだな」


 セシリアの耳にそんな小声が後ろから届いた。セシリアが振り返ると、人面山羊状態のゴールデンゴートマンが不貞腐れた顔でブツブツと悪態をついていた。


「ちょっとゴートマン。こんなところで顔出さないで早く元に戻しなさい」


 ゴートマンの顎髭を引っ張って顔を下げさせて、群衆から隠すように間に立ってセシリアが説得に入るが、顎髭を無理矢理引っ張られたことも癇に障ったのかゴートマンが声を荒げた。


「痛ってーな!髭を引っ張るなよ」

「あっごめんなさい。でもいいから早くその顔を戻して、みなさまにバレちゃいますわ」


 セシリアが髭を離すとゴートマンは頭を数回振ってから頭を上げセシリアを見下ろす。


「この顔がなんだってお前らの敵だってか!」

「違うから、そんなこと言ってるんじゃありませんから、もう子供じゃないんですから、はやく隠しなさいって」

「また、ガキ扱いしやがって! おまえだってガキだろうが!」


 完全にみなさまに見られてますし、音声も拾われて拡声されてますよ。お嬢さまがた、どうするんですか? ほらもう魔族を知ってる兵士さんたちには、気づかれだしてますってば。


「おい、あれ人の顔だぞ、喋ってるし魔族? 魔族じゃないのかあれ?」

「セシリア様、騙されてるんじゃないのか? 襲われそうだぞ」

「小隊集合、魔族の排除準備!」


 お嬢さまのいる軍本部前の演説台に兵士がなだれ込み、お嬢さまとゴートマンを包囲する。


「ちょっと、みなさま落ち着いてください。これは違いますからね。落ち着いてくださいまし」

「なんだよ。俺と闘ろうってのか、人族の歩兵程度が面白い、蹴散らしてくれるわ」


 群衆さえも、先程のお嬢さまのアジテーションで殺気づいたままです。わたしは、ようやく群衆から抜け出して段下まで辿りついたけれども、これはどうしましょう。というかどうにかできるのコレ?


「ちょっとゴートマン落ち着いて、兵も槍を下げなさい」

「セシリア様、はやくこちらに魔族を刺激しないようにゆっくり、ゆっくりと下がって」

「あっ! おまえも逃げるのか」

「逃げないし! ()()()じゃないって何度言えばわかるのかしら、このバカ山羊!」


あーもう、ますます収拾がつきません。

(うーん、なんかないプラム)

最近プラムに頼りすぎよね。そのうちプラムがブリキロボからネコ型の耳無しロボに変わりそう。


《最高にカオスですね。ここはルナリアらしくズレた転機での解決をお勧めします》

(どういうこと?)

《正直にアカシックシリーズのギフトの秘密の一部を見せつけましょう。真実は揺るぎない物ですから》


(なんとなく想像がついたけども、白択にもそんなモードあるの?)

《『虚無の泉(アカシック)』にアクセスできるギフト、アカシックシリーズには、全て搭載されています。管理承認権限は当躯体が保有しています》


(それならなんとかなるかな……でもあのモードってかなり恥ずかしいんだよね)

『スッポンポンで恥ずかしい。人前でやるもんじゃない』


ネコ耳ルナリアの忌憚なき意見に激しく同意。あの悪魔の姿はアカシックに効率良く接続するためのモードだから体表面剥き出しだもんね。人前とか無理、痴女で捕まる。

《ホログラムで不可視化可能です》

(そんな透明人間はスッポンポンでも大丈夫みたいな話されてもね。人には倫理観ってのがあるのよ)


VR脳内会議の喧騒は、壇上からの激しい罵倒の声にかき消されました。


「おまえって言わないでって言ってるでしょうこのおバカ山羊!」

「へーんだ! サマつければいいんだろ。だったらおまえさまって言えばいいのかよ! おまえさま、おまえさま、オマサマーだ!」

「ガキだとは思っていたけど、まさかここまでアホガキだとは思ってませんでしたわ。なんなのそのアオリ、白択の方に知恵を全部吸い取られたんじゃないの?」


「あの、ちょっとセシリア様も魔族の山羊も一度ね。その、落ち着きましょうね、ほら争いからは何も生まれませんって言いますでしょう。ねっ!」


うわぁー、完全に子供のケンカになってます。兵士のみなさまが、見かねて止めに入ってる始末じゃないですか。お嬢さまー! 周りの群衆みなさままで、苦笑いをしてますよー


(仕方ない、収めに行きますか。プラム、絶対隠してよ!)

《反射率高めのホログラム設定を構築しました》

『透香、コントロール変わって人前でスッポンポン絶対ヤダー』

(いや、それはわたしだってイヤですよー)

《躯体コントロールが、透香プロセスに切り替わりました》

逃げやがったな、あのネコ耳! VR空間でネコ耳ルナリアが布団に潜り込んでプルプルしてる。


 仕方ないな。行くしかないよね。ルナリア、いきまーすです。はぁ……


 軍本部の階段を登るとお嬢さまとゴートマンを中心にして兵士たちが取り囲み、階下にはそれを見ようと押し寄せる群衆。


 正直、逃げ出したいな。


 この騒動の中心の二人はというとお嬢さまがゴートマンの頭のツノをがっしりと掴んで、ゴートマンの頭突きを防ぐ形でオデコが触れ合わんばかりの距離で顔を突き合わせてる。


「口で負けたら暴力ですか。しかも、か弱い女の子に向かってとか、とことんクズですわね」

「どの口で言ってやがる! いきなり人のスネ蹴り上げといてオマエがそれ言うのかよ!」

「女の子のちょっとしたいたずらなんて笑って許すくらいの、甲斐性はないのかしら。器量の狭い山羊ね」

「いたずらってレベルじゃないだろ、当たってたら折れてるからな、アレ!」

「「ぐぬぬ」」


仲良いわね。オデコぶつかったらお嬢さまのナノマシン抗体でお互い「プギャア」ってなるくせに……

「やれやれだぜ」なんて巻き込まれヒーロー気分を味わったわ。ふーんこんな感じなのね。メンドクサー


「はーい、兵士の皆さん通してください! それと危ないですからもう少し離れてくださいー」


そう言って兵士の間を通り抜けて中心にスタスタと近づく。いがみ合うお嬢さまの後ろから襟首を摘み上げる。そういえばお嬢さまって襟首摘まんで引き上げると抵抗しなくなるよね。ネコかなんかかニャ? カワイイ♡


「お嬢さま、お戯れはそこまででお願いいたします」

「あ、ルナリア。肝心な時に何処をほっつき歩いていましたの、ゴートマンが酷いのよ」

「オマエ様がそれ言うのかよ」


肝心な時って、槍で追いかけ回して近づけなくしたのはお嬢さまですよ。それにゴートマン、"オマエ様"ってナニソレ? 素直にお嬢さまって言えばいいのに面倒くさいなもう。二人とも殴りたい。


(ルナリア、ハクタクくん呼び出してシャムロックをタイミング合わせて悪魔モードに変えるように言ってちょうだい)

『はーい』


ネコ耳ルナリアがVR空間でプラムの頭の三角をとってハクタクくんに連絡中。


『ウンウンわかった、伝えてみるね』

『透香、ハクタクくんわかったけどこの場で変身するとシャムロックがプランプランさせちゃうけど大丈夫?って聞いてるよ』


ブッ! あっちもスッポンポンになるのね。悪魔じゃなくて裸族変身でしょこれ。


(ホログラムでなんとかするし金の馬具いっぱい着けてるからなんとかなるでしょうって伝えて)

『オッケー』

『ウンウン、プランプランはなんとかするって言ってる。うんよろしくね』


プラムの頭に三角戻してネコ耳ルナリアがこちらに向けて腕で大きな丸を作った。


お嬢さまを下ろして襟首から手を離すと、すぐにまたゴートマンに襲いかかろうとする。そんな躾のなってないお嬢さま(ドラネコ)をなだめながらお嬢さまとゴートマンの間に入る。


「みなさまお見知りおきの方も多いと思いますが、セシリア様のギフト特A級ヒューマノイドメイドの「ルナリア」です」

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