帰り道
「ホッホッホ、相思相愛というわけでございますな、結構結構。ならば、アタシなど蚊帳の外ですから、邪魔者はここで立ち去ることにしますよ。アタシはほかのお客さまにご挨拶して回ることにしますね」
言ってジュスティーヌは、その場を後にした。
──さて、つぎは何を食べようか
ここの主人が気をきかせて料理をバイキング形式にしてくれたことを、ジュスティーヌは心底ありがたく思った。
すさまじいまでの大食らいで、お上品とは決して言えないジュスティーヌには、フルコースなんてまるで合わないのだ。
従来の結婚式のように皿にちょこんと乗った料理をチマチマとちょっとずつ食べていくスタイルは、ちょっと好きになれない。
腹が減ってしょうがないし、どうせならいろんなものを、たくさん食べたいというのがジュスティーヌの本音である。
──ローストビーフにミートパイ、ブイヤベースにカルパッチョもあるな
それらを皿に盛ってパクつくと、今度はデザートも食べた。
「みなさん、お次はダンスをお楽しみくださいませ!」
ジュスティーヌがチョコレートケーキにキャラメルプディング、ストロベリームースにブルーベリーのゼリー、ベイクドチーズのタルト、を続けざまに食べた後、マクシミリアンの父が招待客に呼びかけてきた。
「食べながら観覧するのも自由!飛び入り参加も自由でございます!さあさ、みなさん、お楽しみくださいませ!!」
──どれ、なら食後の運動がてらにアタシも楽しみますか!
ジュスティーヌは踊り子たちの輪の中に入ると、ともに踊った。
振り付けなどわからなかったが、手慣れた踊り子が上手くリードしてくれたおかげですぐに慣れ、すぐに楽しくなってきた。
「ああー、疲れた!」
ひとしきり踊り明かした後、結婚式はお開きとなり、招待客が次々に帰っていく。
楽しく踊りまくって疲れたジュスティーヌは一休みしてから帰ろうと考えてその場に座り込み、ほかの招待客の背中を見送った。
「疲れたもクソもあるか!スープを一気飲みしたときは、冷や汗をかいたぞ!!」
隣にエレオノールが座ってきた。
「申し訳ございません…」
ジュスティーヌが頭をかく。
「さっさと着替えて帰りますよ。アタシの出番はもうございませんから」
ジュスティーヌは立ち上がった。
「着替えなくていい。それはジュリエット様がお前にやるつもりでいたんだ」
「…あらまあ、じゃ、いただきますね」
断ろうかと思ったが、ジュリエット嬢の好意を無碍にするのも気が引けてきたので、ジュスティーヌはその服のまま帰ることにした。
「では、さよなら」
「ああ、いつかまた会おう」
ジュスティーヌは別れを告げると、ほかの招待客に続くようにして会場を出て行った。
帰り道、庶民が暮らすような街で豪華な衣装を着て歩くジュスティーヌはかなり浮いていて、通行人の目を引いた。
そんなことなどお構いなしに、ジュスティーヌは笑みを浮かべながら軽い足取りで帰宅していったのだった。




