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ロヴァノリヤ禽獣旅紀  作者: 南部 八十一朗
第Ⅰ章 禽獣は騎兵民族国家への旅を致す
9/10

禽獣は旅を委ね往く Ⅳ

(落ち着かない落ち着かない落ち着かない...)


グルグルと部屋内を駆け回る、時に部屋に備わるクローゼットやベッドの方へ行って、漁ったり動かしたりするが、ソワソワする、漫ろが止まらない。

何かこう、全てが宝石の様な眩しさと高級感で庶民の私には、慣れなさ過ぎて、落ち着かない。

絶対向こう(ミュハーン)も私と同じ気持ちの筈...だよね?

(やっぱり、私の様な庶民派には、こんな派手な装飾品や高級感溢れ零れる程の物達に囲まれると、もしも壊したり、破って賠償とかに成ったら...って想像しちゃうから、引いちゃう...そう思うと地獄だなぁ...気を使い過ぎて、逆に疲労困憊に成りそうだし...眠い)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「はぁ...もうすぐ、夜に成るなぁ...」


机上に足組み、紫煙吐く煙草口銜えながら、窓を眺める。

高そうな刻み模様の在る机、平気で汚れの在る革靴を乗せ、組む。どうせ清掃員が掃除するだろ。

そんな考えの元、普通に家具を漁り、平気で汚す。

「大した物も無いじゃないか、つまらんな...何かこう、如何にも高い奴じゃないと壊したくなる様な活力が湧かないじゃないか...はぁ~、何か喰いたいなぁ~」


陽が地へ傾き沈む中、沈む陽の様にジリジリと空腹の腹鳴りが産声を出す。

腹が溜まる物が食べたいなぁ...やっぱり、多量の焼き肉に腹に溜まる芋系料理も良いし、やっぱり、こういう時は、質より数が有利になって行く。よくある○○産高級素材を使用したとか、希少素材を使った、厳選された素材の的な奴は大半が少量だけで満たないといけない、まるで、お子様ランチの様だ。

「もうそろそろ、良い時間帯だろうし、外の食事処探しに行くかな...」


ベッドに広がる毛皮の羽織を外套(コート)の上に着て、自分の宿泊部屋に鍵を閉める。

「それじゃあ...イデナの部屋へ向かいますかぁ...」


静寂な宿泊部屋扉の並木回廊を歩く...

人工的な建物の中は、閑々な森林で扉が樹に見え、白い花模様のクリーム色の壁が降りゆく荒雪の様に見えるし、狩猟用冬服の柄にでも在りそうだ。


静寂な並木回廊に響く、私の足音。其れほど、誰かの物音もしていない、何とも奇妙。

絶対他の者も泊まっている筈だが、何ら物音もして無い。皆、外か下の方にでも在るレストランでも行ってるのか...

「早くイデナの部屋に行こう...」


何か変な予感がする...

急ごう...

だが、それが良い。此のジワジワと迫る不安感に緊張感、良い刺激を産み出している香辛料(感情のスパイス)だ。

(このまま、此処で待機したら、面白そうな事に遭いそうだなぁ...)


だが、今、私は腹が減っているんだ。イデナが言ってた、腹が戦が出来ぬって言う言葉、今まさに、その状態なんだ。さっさと、夕食喰って、この”何か”の予感に備える(楽しむ)ために。

銃弾も煙草もある、だが、補給(食料)が無い。


...とっと、イデナの部屋行って、外で飯食べよう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(暇過ぎる...あれ?このくだり、またした気がするなぁ...)


あぁ...もう飽きたぞ。と言うか、退屈すぎる。

「ミュハと一緒に夕食食べに行くか!!」


私は仕舞った翼を大いに広げ、左右の羽に手を入れ、探る、基本的に手荷物はこの中に入れている、財布とか武器とか...そういうものを入れて生活している、翼人の中ではメジャーな習慣なんだ。

「あっ...あったあった」


枯草色の革製長財布、中心には機関銃と朝日が昇る連峰が描かれている。

所持金は...そこそこかな、十分。

「さっ、ミュハの部屋に行くますか...」


扉を開け、鍵を掛け、宿泊部屋の扉が立ち並ぶ回廊に立つ。

...凄く違和感を感じる。何か起きそうな予感、中か、外かは分からないが、変な事が起きそうだ。

「...って私、ミュハが泊まる部屋、何処かに有るか解らないじゃないか...」


どうしようか...

(...ん?何か気配を感じるぞ....何か解らないが1()、音からして人間じゃないし、亜人か?...多分?)


頭の中にこの回廊の地図が広がる。直線状の道、長く部屋が並んでいる。

何かが、後ろの方から気配を感じる。...ミュハ?

後ろを振り返る...誰もいない...?

前を向くが、誰もいない...どういう状況だ?


だが、何か来てる...


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ほんとに誰もいないな、まるで廃墟の様だな...って、あれ?イデナの部屋はここらの筈...」


やっぱり、変だ。

何だろうな、何か霞んで来た。


「はっ、あれ、私寝てたのか?じゃあ今のは夢?」


其処には、さっきまでいた、部屋。ベッドには毛皮の羽織が有る。灰皿には煙草が多量に有る。

煙草(鎮静剤)の副作用が来たか...

「之が現実か?」


手がニギニギと動かした後、煙草一本取り出し、一服。

「現実だ、この味は現実だ」


脈々と血の様に繊細でしみじみと伝わる味覚、夢の様に曖昧な淡い味では無い。

何時もの様に、多量の紫煙を吐き出す。

「腹減ったなぁ...飯食いに行くか。イデナも誘って...」


ベッドに広がる毛皮の羽織を着て、部屋出て鍵掛ける。

...あれ、また同じことをしている。...まぁいいか、あいつの部屋に行くか...

(腹減った、腹減った、腹減った、腹減った...)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「凄く不気味だなぁ...」


白い照明、静寂に私以外誰もいない。気配はするのに...

その時、大きな揺れがした。

「何だ!?地震!?」


それと同時に視界が霞み、頭に声が響く。

(イデナ、夕食食いに行こう~)


ミュハの声がする...そうか、夢か...不気味な夢だな...

「今、現実(そっち)に行くわ」


その時、視界は黒ずみ...


「はっ...」

「やっと、起きたか」

「すまん、すまん、変な夢見てた」

「私と同じだな、さっきまで変な夢見ていた、此の宿の回廊を彷徨う夢見てた」

「私と同じじゃないか...」


その時、私のお腹から腹鳴りが響く。恥ずかしい...

「...」

「...とりあえず飯喰いに行こう」

「...そ、そうだね」

「ちゃんと鍵掛けろよ」

「...うん」


ガチャと扉閉め、カチャと鍵掛け、一階へ向かう。

階段降り、色々と煌びやかな1階に着く。ミュハは一直線に入口に向かう。階段の右に入口、左には、絢爛豪華な服装をした者達が集う宿の飯場...私も外の方が良い。私とミュハは無言のまま、入口向かい、外に出る。

「「...何か疲れたぁ~」」


心地良い風に民衆の笑声、()に成って、街は明るくなり、酒と肉料理の馨りがする。私には丁度良い。やっぱり、外は良い物だ。

「まぁ...何処の食事処(レストラン)に行く?私はがっつり喰いたい。イデナは?」

「私もがっつり食べたい、腹減りすぎて、何か、腹可笑しくなった」

「フフッ...じゃあ、肉料理の店でも行こう」


そう言って、ミュハは、歩き出す。

今日は酒でも一杯飲むか...


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


八十一朗です。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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