荒海如くの山脈 Ⅱ
「如何いう状況だ?其の女性は誰なんだ?怪我もしてるし...」
「私を撃った女、ただ、朱軍でも無ければ、他の武装組織の連中でも無い、猟人職のクラスノコプ市民らしい...」
「...よく解らないが、敵では無いのだな...でも、如何するんだ?」
「此奴も連れて行くんだよ」
「でも...うぅん...」
「別に被害に成る様な分子にも成らないだろうし、成るなら処せばいいだけだ」
「...ミュハらしいな、でも、流石に度が過ぎてると思うが...」
「..いいか?今は、敵味方が曖昧なんだ、何時、敵に変わっても可笑しくない。其れが今の国内なんだ、何時死んでも、変わる事の無い、此の國に度が過ぎる行為なんて有るか?もう習わしも滅びたんだ」
「でもな、処せば処す程、自分に帰ってくるだけだ」
「そんな事は重々承知だ、だかな、今の情勢的にも私達の様な馬の骨も分からぬ者は敵分子だと思われるし、思ってしまう...猜疑心だけで処すのはどうかしているが、此処は革命と言う名の大叛乱が起きた多民族の大監獄だ、脱監と言う名の解放へ往くだけだ」
「確かにな...でもな...」
「批判は國に言え、憂国と思い脱し、國変えたいと思い革命に入る、どれも之も、全て國がやった事だ」
「もう解った、今は此れから、どうするのかだ、クラスノコプも燃え、もう此の儘、往くしか無いのだろう?」
「もう其れしか無い」
「...準備は出来てる。最悪が私らの定番だ、此処までの人生が塗り替わるなら、此処で今までの最悪を最善に変える
「...無理するなよ」
「そんな事は既に知ってる事だ...」
「そうか、まぁ、此処からが正念場だしな」
「...そうだな、そう言えばユジノーは?」
「彼奴は白樺から取れる実?を取りに行った。何か、回復に役に立つらしい」
「そうなのか...なぁ、今思ったが、”女”しか居ないな...」
「別にいいじゃないか、男は戦地に行ったから、女性しか居ないんだよ、多分」
「そうなのかなぁ...」
「そうだよ」
癖の様に嚢から、煙草を取り出し、火を点ける。吸って吐いて、薄い紫煙を巻き降らす。
「こんな時でも煙草か」
「これぐらいしか娯楽が無いんだよ、酒か煙草か賭博か、少数な娯楽も革命で消え失せたし、色々と辛いなぁ...」
「しょうがないだろう?何時、革命が終わるのかも解らないが、その時までは、お預けって事だな」
「長いお預けに成りそうだな」
「我慢は出来るだろ?」
「飯も危機的なのに、娯楽も危機、何時に成ったら、報われるんだろうな」
「死ぬまでには一回は在るだろうよ」
「イデナの気楽さには敵わないな...」
「なわけ無いだろう?こっちだって、色々と困ってるし、辛い」
「例えば?」
「...私の存在意義」
「急に辛辣に成らないで」
「だってさぁ、幼少期は差別を味わい育ち、翼を在るからと言う理不尽な理由で、不当な税採られたり、人生薔薇色所か、底なし沼みたいな人生過ごして来て、誰かに生きろなんて言われたこと無い私に生きる意味は在るの?何て事をいつも考えてる」
「...そんな事でいいのか?」
「...?」
「お前の人生が如何に苦痛で辛い何て、具体的には知らない、でも此処まで生きて私に会って、旅してる時点で、死んでも何も残らない訳ないし、人生薔薇色?お前には麗しき艶やかなその黒の翼が在る時点で、薔薇どころか満天の星空みたいな輝かしい人生送れているだろ、他人は考えるな、自分を視ろ、卑下や自己猜疑で削るよりも、心の宝石磨け」
「...何だそれ、ミュハらしくない言葉遣いだな」
「別にいいだろ?私にだって、これくらいの語彙力は有るぞ」
「...何か少し軽くなったわ、ありがと」
「...そうかい、なら良かった」
存在意義何か、どうでもいいだろう?お前らは?何時でも何様と考える事は在るのか?そんな事は知る由も無い。
凍寒が深まってきた。ピューと鳴く冬の風物詩の風声、寒風が吹き、銀世界に白銀を継ぎ込もうとする。
「ぅぅん...ぅん..」
「起きて来たな」
「どう説明すればいいんだ?」
「そんな難しい事じゃないだろう?適当に芝居か演技で誤魔化せばいい」
「其の内容が浮かばないんだよ」
「もう...」
「あれ...?此処は...?」
「やっと起きたか?」
「...!? ヒッ!!こ、来ないで!!」
「落ち着け、此処は別に危険な場所でも無いし、私は別に敵じゃないぞ」
「そ、そんなこと言って、酷い事をするんでしょ!!」
「あのなぁ、今、此処が何処か解るか?さっき居た白樺の森だ、其れに縄で縛っても無いし、脚を撃った以外、何かしたか?」
「足を撃ってる時点で、私を殺そうとしようとしてるんじゃないか!?」
「殺せるなら、とっくに殺してる」
「...で、でも...」
「一回考えてみろ、殺そうとするなら、既に殺されている筈だし、敵かも知れない物を生かすか?」
「...じゃあ、何で殺さなかった...の?」
「そんなの、単純さ。”気に入った”」
「...ん?」
「どうせ、逃げ場が無いんだろ?私達は隣国のヴルジアまで行く予定だ、お前も付いていくか?」
「...ほ、本当に...行くの?そうやって...」
「信頼しろ、私は嘘は点かない狼だぞ」
「...良く解んないけど...頼む、私を安全な場所に連れて行かせてくれ...」
「任せろ」
「...あ、ありがとう...」
「私はミュハーン、ミュハって呼んでくれ。隣で喋らない翼人は、イデナウアーって言う奴で、イデナと呼んでくれ。で、今はちょっと居ないが、ユジノーと言う馬人が居る」
「わ、私は、ハルィーヴです...其の...ユジノーさん?と同じ馬人です...」
「アトイルサン?ドラフチェラって呼ばないのか?」
「実は...私は、ロヴァノ人では無くて、トゥラード人なんです...」
「トゥラード?ヴルジアの奥の国の者が何で、ロヴァノリヤに?」
「...実はですね、南ロヴァノリヤ=トゥラード馬人盟と言う、馬人達の集いが在りまして、ロヴァノリヤの馬人に会いに仕事人名義で入国したは良いけれど...此の内戦に巻き込まれて...」
「帰れずに居たと...?」
「そんな所です...本当に祖国に帰してくれますか?」
「行きたいけど...先ずは、ヴルジアかなぁ」
「ロヴァノリヤから出れるなら...良いんです」
「ふ~ん...なぁ...トゥラードはどんな国だ?此処よりかは平和か?」
「断然平和ですよ、飯も美味いし、酒も良いし...」
「酒?!」
「ど、どうしたんですか...?」
「ミュハは酒に目が無いの、気にするな、いつもこんな感じ」
「そ、そうなんですね...」
「な、なぁ...どんな酒が有るんだ!?」
「ラクにビールやワイン...とかですかねぇ...」
「いいなぁ!!」
「そ、そうなんですね...」
「...」
「...?」
私は、ハルィーヴが持っていた銃に剣を取り出す。
「はいこれ、お前が持っていた銃と剣」
「あぁ...ありがとう...」
「其の剣、凄く手入れと傷が視れるな、そんなにいい奴なのか?」
「之は、隕鉄で出来た特別な剣です、此の刃、他の物よりも白く蒼碧く輝く此の刃、大理石の純白に等しい様な光沢...」
「要は、他の物とは比べ物に成らない価値ある物って事か?」
「そんな所です」
「剣なんて...今時、白兵戦は滅多にするものか?」
「意外と使いますよ、元々、トゥラードは山岳や砂漠の様な銃には負担のかかりやすい立地なので故障が多いんですよね...」
「じゃあ、剣術が出来るのか...」
「まぁ...近接は其れなりに...」
「なぁ...其のトゥラードって国はどんな国なんだ?」
「う~ん、州によりますが...東部は山岳地帯で乾燥してて、西部や東部の沿岸部は比較的に暖かくて...西部の中央部のトゥラード高原に佇むアンカーラ・アナトリヤがトゥラードの首都です。其の州の中には自治州が有りまして...中には、馬人の自治州が有り、其処に私は暮らしていました」
「何か、国内で荒れてるとかは無いのか?」
「特に自分たちに被害が来る様な事は無いですね...ただ、強いて言うなら、政治関係の問題ぐらいですかね...」
「まぁ...別に政治はどうでもいいから、別に危険な所ではないのだな?」
「まぁ、そんなですけど、一つだけ問題が...」
「え?」
「此の内戦による亡命でヴルジアやトゥラードに難民が来る可能性が在るじゃないですか」
「まぁ、そうだな」
「其の難民が暴徒化して、色々と連続犯罪を犯したことが過去に何回も有りまして...其れで他国の難民にやや否定的と言うか、差別的でして...私もこんな身で良く言えるなと思うんですが...生き残るために逃げるのは良いけど...逃地で迷惑掛けるのは、どうなのか?みたいな事は考えます...」
「私らにとって一番の問題だよ...あぁもう、何かムカムカして来た...許さん、馬肉として焼いてやろうか」
「え?え?え?」
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続
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ハルィーヴ・ラスゴイチン=トゥラード・イムルハーク
種族 馬人(アトイルサン トゥラード語圏)
民族 ロヴァノ系トゥラード人 (カフカーフコサック系トゥラード人)
能力 ??
年齢 25歳
出身 トゥラード大共和国カルパドルア州カルパドルア市
身長 174㎝
体重 75㎏
誕生日 9月24日
好物 林檎、麦酒
外観・・・
馬の様に麗しく艶やかな毛並みで黒髪とは言えないが黒に近しい色の髪色に僅かに白と灰色が交じっている。渋い茶色のチェスターコートにコートに固定されたマフラー?を着て、黒長ズボンに膝丈まである革靴を履いている。また、ハンチングかフェズ帽に似た帽子を被る時が有る。
精神・・・
駿馬擬きの力馬・・・足は其処までだが、他の馬と比べ馬力が桁違いに高い
カルパドルアの突撃傭兵隊・・・ハルィーヴは元々、突撃傭兵隊、自警団に所属していた。少し血気盛んである。
南ロヴァノリヤ=トゥラード馬人盟・・・南ロヴァノリヤ(三コサック系)とトゥラードの馬人たちの集い。現実世界で言う大企業?の様な物である。役割は馬人の権利や生活保護。影響力はトゥラードの政界にも有り、少数政党ながらも懸命に活動している。ハルィーヴは盟内では異国の馬人との親睦を深める仕事をしている。
能力・・・
不明




