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ロヴァノリヤ禽獣旅紀  作者: 南部 八十一朗
序章 ミュハーンと言ふ狼の旅
2/11

寒地の禽獣 Ⅱ

ウォッカの栓を開け、(グラス)に注ぐ。

この嗜好品(ウォッカ)も高くなってしまったなぁ...

「一気に瓶飲みもいいが、こうやってチビチビと飲むのも良いな...」


宿の中、窓の外から冷たい風の揺れに、大衆の声が聞こえる。又、騒いでいる。

(ポケット)から、煙草とライターを取る。

一本火を点け、吸う。

皆んな(大衆)が争うせいで、酒税も煙草税も上がってしまったし、嫌になるなぁ...


酒に呑まれ、煙に誘われ、世の中、狂った様に人々が飢えている。殺し合い、殴り合い、傷つけ合い、結局は、滅ぶ。

皆、平等に成る、其の日まで。

チリチリ、煙草燃えながら、白と灰の交わった紫煙が、滝のように昇り、天井に着く。

左手の人指しと中指の隙間に煙草を挟み、右手で、ウォッカを飲む。


「ウォッカが無くなってしまった」


.....

外套(コート)の内側から、1つの産業大革命の産物を出す。

拳銃だ。

名は、ナジン-7。7発式のリボルバー、銃火器の所持は、ロヴァノリヤ(此の国)では、完全合法で有る。狩人だろうが、弱者だろうが、自分の武器を持てる。故に自己防衛が出来る。


「次は何処にしましょうかねぇ... 此処(ヤレンスク)から北は帝都、南下すると、騎兵民族(コサック)の自治国家。東方へ行くと、極寒の地、シャベリン。西へ行くと、近代国家(先進国)が群がる地、泰西。」


此の国(ロヴァノリヤ)の国土は”巨体の大熊”と揶揄される程、広大な領地を持つ。帝都の名は、ツァーリンペテルブルグ。ツァーリは、皇帝って意味で、この国には、王がいる。私には興味の無い物だ。東方の地、シャベリン、国の西側の主要民族、ロヴァノ人と違い、血筋も顔立ちも違う、極東民族が住み、多々の言語・民族独自の社会を営んでいる。場所によっては、軍閥化・匪賊化した、東方民族にやられる可能性が在る。本国(ロヴァノリヤ)からも離れた距離で、独自の自治政府を持つ。帝国に付く自治国(ロヴァノリヤの玩具)だ。

南下した先に在る、騎兵民族(コサック)の自治国家。此処は極東民族の様に、ロヴァノ人と違う民族の支配圏(自治国家)がおよそ、3か国ある。彼、彼女(コサック)は単一の血では無く、多々の民族の血が混じり合った融合民族。主に、馬術や騎兵術に長けており、足腰の筋力が凄く発達している。

彼らのテリトリー(支配圏)は、カフカーフ連峰と言う山々に住む。5つの山を3つの国に分け、独自の文化、自治政府、戦術を持つ、ロヴァノリヤの構成国の中でも、高度な自治権を持つ。

西方、ロヴァノリヤを抜け(出国)、産物大革命の中心地の泰西。複数国家が手を取り合い、協力し、互いに地位を蹴り合う。乱暴的な国民精神(国民の性格)が多い。近代的な街並みに最先端の機械が織り成す、文化の進化の最前線を見れるが、此処(ロヴァノリア)同様、大衆のデモや反乱が在るらしい。


旅は、死と隣り合わせ。何処へ行こうが、危険は影のようについて来る。さて、何処に行くか...


「...賭けるか」


机に、4つの銃弾を横一列に置く、右から(帝都)西(近代国家群)(シャベリン)(騎兵民族国家)。少し離れて、扉の手前。1本の煙草を(くわ)え、火を点ける。

白と灰の混じった紫煙が溢れる。それを口に入れ、一気に口から煙を吐き出す。その時、煙は自我を持ったかのように、上に昇らず、真っ直ぐ、4つの銃弾の方へ向かう。


「...カランッ...カランッ...カランッ」

 

煙は、1弾1弾倒す。風で倒す、単純な手品の様な物だ。


「1弾、残ったか...南か」


行先は、騎兵民族(コサック)の国々の旅の決定だ。

自治国家は、3か国、ドン・コサック国、クバン・コサック国、カフカーフ・コサック国

距離的には、ドン→クバン→カフカーフの順番で行くとして...

今、ヤレンスクに居る。ロヴァノリヤ=コサック鉄道に乗り、ドン・コサックに在る、ロスヴォフヴルク駅まで乗り、入国所で検査を受け、入国。


「明日は、ヤレンスク駅に行って、コサック線方面の列車に乗るか...そしたら、大体5日ぐらい掛かるのかな。後、自己証明書(パスポート)の申請もか...独立国でも無いのに、何で、自己申告書(パスポート)が必要なんだろうな。」


全く、違う文化・領土の国に入国するのに、自己申告書(パスポート)が必要ならまだしも、自国で、領土の一部、ちょっと地位高い地方省の様な物なのに...自己申告書(パスポート)が必要なんだ?

意味が分からない。


そう考えながらも、就寝し、翌朝を迎えるのであった。

翌朝、5時半起床。


「朝か、」


そんな単的な独り言を吐き、窓から外を眺める。

外は活気も無い、薄暗い街並みに、橙色のガス燈の灯りが、星の様に、薄暗い街と言う宇宙の中で輝いている。まだ、店々の開く時間ではないし、早く起きってしまったか...


椅子に座り、煙草を吸う。紫煙は、不規則な軌道を描き、天井まで届く。この世界には、魔術が存在する。魔術は、一人一人に何かしらの超越した能力であり、使い道によっては、生活に使ったり、戦や利益を得る等、本人次第で人生薔薇色にも成り得る。魔術が使えるようになるのは、人によって、時間が掛かる。幼少期か青年期か大人か高齢期か、それは自分にも、他人にも解らない。だが、私には、在る。紫煙を操る、正確には煙を操ることだ。煙...それはそれは、良いものだ。自らを煙と同化でき、銃弾を喰らわなくて済む。又、煙は危険だ。一定量吸えば、生命の危機にも成る、命を殺す事の出来る危険な魔術だ。これを使って、戦いで応用とか自己防衛としての役割はいいと思うが、かなり地味と言うか、ピンとは来ない感じの魔術だ。


でも、実際、魔術は生活で利用する事が多く、そんな魔術で戦う事等、早々に無いだろう。理由として、単に、魔術の需要が減り、人々の魔力、魔術の使用目的が、機械等に取って代わっているからだ。そうなると、自然に魔術は活躍の場を失い、人々から力が抜けるのだ。しかし、魔術は基本的、”学校”で教科として学ぶそうで、魔術を使う・使える様に成るのは、大抵は、幼少期だが、あくまで、学校に行く人間に限る。我々の様な”亜人”は国や地域によって、学校も無い。私はそうだった。両親も私も強制労働をさせられた。あそこ、ウラテリンブルクは、序列みたいなのが在って、人間が最高の存在。亜人諸々は人間の隷にして、奴隷だった。だが、それは、ウラテリンブルクだけのことで、隣町のペラルは、そんな序列もなければ、互いに共存していたし、ヤレンスクもだ。実際、私は、あの恩人(官憲)に酷い仕打ちや事を一切されなかったし、街でも、怪しい者に誘われたり、暴行を加えられる、何て事は無かった。あの町が異常だった。そう結論付けている。


「そろそろ、良い時間だろう。自己申告書(パスポート)の申請しに行くか...」


また、過去の一部を思い出した。が、そんな事は、今はいい。とりあえず、今は此の恒久的な旅を続ける、それだけを意識しよう。


そうして、私は、自己申告書(パスポート)の申請をする為、市役所へ行くのだった...


執筆者の八十一です!!最後まで読んで頂きありがとうございます。

もし良ければリアクションとかしてくれたら嬉しいです。


Урааааааааааа!!

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