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ロヴァノリヤ禽獣旅紀  作者: 南部 八十一朗
序章 ミュハーンと言ふ狼の旅
1/11

寒地の禽獣 Ⅰ

聖歴1575年。今から45年も前、私は生まれていない。そんな時代に一つの幕が閉じた。剣と魔の時代。

産業大革命が起きて、あらゆる物が生活の習慣を変え、文化に建築、戦を根本から変え、銃と魔の時代ができた。それに伴い、格差が生まれた。国によって、発展度が違い、発展が良いほど、地位は高く、発展が遅いほど、地位は低い。私の祖国ロヴァノリャはかなり国土が広く、帝都やその周辺都市は近代的だったが、革命の中心の泰西(西洋)の地から東の寒地シャベリンへ行くと、未だ中世的・原始的な街並みが多く、国の住む地域で格差が激しかった。言わば発展先進国の皮を被った後進国であった。


シャベリン地方の入り口、ウラテリンブルク地方ウラテリンブルク市、此処が私の故郷にして、最悪な所だ。

別に発展の度合いは悪くなかった。格差・差別がひどかった。もう25年前の事だ。今はどうなってるのかは分からないが、幼少期は2食か1食の生活を強いられ、15で働いた。ボロボロの服に身体、時に人間に嘲笑され、罵倒された、それが日常だった。私は、亜人だった。亜人は基本的に、人間の倍を生きる。そのため、人間と同じ15でも、亜人の方が精神的にも体格的にも、都合がいい(役に立つ)からだ。人間は学校等で学ぶ中、私は新聞配達に農作業をしていた。無学文盲の私は、新聞に書かれる文字を毎日独自の考えで読んでいた。でも、全然内容は解らなかった。


転機は17の時、親が死んだ時だ。

悲しみも涙も出なかった、謎に。ただ、その日の夢に親が出てきた。

「ミュハーン、自由に成りなさい。家に在る鞄に服と金が有る。それで、遠くに行きなさい。」

そんな声?幻覚?と思いながらも、家の中に有る者を漁る。その時、一つの鞄を見つける。立派な革製の鞄。開けると服と金が入っていた。綺麗な純白のコソヴォロートカ(純白のシャツ)に黒い外套コート、厚い毛皮のウシャンカ(ロシヤ帽)、黒いズボン。


全て着る。極上で温かい。さっきまで、サラファン(ボロ服)を着ていた私には、貴族になったような気分だったが、まだ自由とは言い切れない。

「早く故郷(此処)を出よう」


無我夢中で走った。時期は冬、夜は-30以下へ下がり、森に棲む魔獣に喰われる可能性も有った。

隣町も十数キロも遠く、豪雨の様な雪が吹き荒れる。

そんな中を走る、走った。体中の感覚が徐々に徐々に失いながらも、隣町のペラルまで走り切った。

時間も夜遅くを超え、宵が明ける寸前だった。

手を擦って、暖めながら、街を徘徊していた。寒さで腹が減っていたことも分からないし、四肢の感覚が消失しそうな程、何も感じなかった。

陽の影()が晴れ、紺色の大空が見えてくる、希望が見て来た。

「あと少し...あと少し...」


そうして、宵は明け、晴天が広がる。

四肢の感覚がジワリジワリと戻る中、私は街中を徘徊(さまよ)っていた。

「何処に行けばいいの...?」

()の前に広がる建物に書かれる何か(文字)が分からない。どういう意味?幸いな事に、文字は読めなくても、会話することは出来た。

ただ、人がいない。静寂な街の影(人々の眠り)が未だ蝕んでいるんだ。

口から多量の紫煙(白い吐息)を出しながら、ずっと徘徊(さまよ)っている。

そんな時だった。

「其処の獣人!!止まれ!!」

低く重厚感の在る男の声、声のする方へ顔を向ける。其処に居たのは、官憲(ポリツィア)だった。

「お前、こんな時間に何をしている。」

「いや...何も...」

「嘘を付くな!!...こっちに来い!!」


そう言うと私の手を引っ張り、官憲所に連行された。

所に入れられると、官憲(ポリツィア)の態度は変わった。

「これでも食べなさい」

そういうと、柔らかくもっちりとしたパンにシチューをくれた。

美味しい、口の中から体の芯に暖かみが広がる。

「そんなに美味しいか?...」

「は...はい..」

「それは良かった。」

官憲(ポリツィア)は優しかった。ただ、瞳は少し悲しく見えた。


その後、私は、あの官憲(ポリツィア)の家に十数日間泊めさせてくれた。文字の分からない私に文字を教え、料理の作り方も教えてくれた。まるで親の様な存在だった。

「君は、自由だ。だが、これからはどうする?ミュハーンよ?」

「私は、旅に出たい。此の世界を見てみたい。」

「そうか...だが、良い事だと思うぞ。」


旅立ちの日、家前に立つ私。鞄を持ち、服装を整える。

「怪我するなよ。ミュハーン」

「はい!」

「気をつけろ。特に最近は、治安が悪くなってるからな、巻き込まれない様にな」

「子供じゃ有るまいし、大丈夫ですよ!」

「そうだな....そうだよな!旅頑張れよ!」 

「はい!」 


こうして、私の旅は始まった。当時は齢17

正直、まだ子供の部分も有った。だが、幼少期の苦労が精神を鍛え、心は強靭だったし、農作業で備わった筋力も在る、親譲りの巨体(189cm)でも有った。

旅の面白さを感じたのは、街中の事だった、建物に描かれた文字を読むことが出来た事だった。パン屋に本屋、銀行等、それは、鮮やかで生々しい感じで有った。


産業大革命が起きてから、20年後、私は産まれた。15で働き、17で旅を始め、今現在25の私は今でも旅をしている。


過去を振り返る事は、私にとっては大事な事の一つだ。一度学んだ物を復習する様な物にして、気が楽になる。此処は、帝都近郊の都市ヤレンスク。

今は狼獣人()の一人旅...でも正直、相方(パートナー)が欲しい。産業大革命で我々の生活水準も上がり、鉄道で遠くへ行ったり、ましては、山で野宿する事もあるが、ロヴァノリヤは現在かなり国内が荒れてて、原因は近代化による、民族間の格差で、多民族国家だから軍閥化やテロ組織化で、不安定。そうなると互いに助け合う仲間が欲しい。

「明日は帝都で民衆のデモが在るらしい...店も閉まるだろうし、最悪だなぁ...」

1つの新聞を手に取る。

新聞の情報じゃない、風聞(うわさ)だから、信憑性は解らないが、デモやらストライキが日常化したが、故に変な耐性が付いてしまった。慣れは怖いな。

「もういいや...ウォッカ飲もう」

産業大革命で近代化はしたが、収入の格差が激しく、工場主の様な資本家(ブルジョワ)とその下で働く労働者(プロレタリア)の戦いがずっとある。前述した民衆のデモも労働者(プロレタリア)の賃金改正だし。文化が進化しても、争いは収まらないねぇ...

「また、デモで列車遅延か?...帝都はデモ、周辺都市も治安不安定だし、国民議会(ドゥーマ)は何してるんだ?」


国民議会(ドゥーマ)、ロヴァノリヤの議会にして、国民の生活・法に国の方針等を決める最高機関。

賃金改正の権利も持ち、此処が許可しないと、賃金は上がりも下がりもしない。つまり、此処(国民議会)が動かないと、国内は荒れに荒れまくると言う事だ。


「此の国はどうなってしまうのやら...」

そうな憂国的な考えはさておき、ウォッカの栓を開けるので有った。


執筆者の南部八十一です。読みは、なんぶ やそいちです。今回、始めての小説投稿でドキドキしています。所々変な表現描写だったり、文が怪しい所も有りますが、グサグサと指摘して下さい。これからも宜しくお願いします。もし、良ければ感想や評価お願いします。

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