禽に狼に馬の旅 Ⅱ
タイトル変えちゃった...
夜の海に浮かぶ星々は海底に立つ私に多色光を与えて来る。三原色寄りも鮮やかで同時に眩しい程の物。数多の夜海の宝石達が東へ蠢く、少しずつ少しずつ...
私には、星は大切なものだ、星は、私に力をくれる。
地から天へ高く手を伸ばし、左から右へ大きく一回だけ振る。
そうしたら、夜海の中、宝石とは別で、曜々と素早く泳ぐ宝石が出て来る、其れは彗星だ。
多彩な閃光を発しながら、地に沈む。私は天体が好きだ、星と言うのは全て輝き、そして、延々と光り続ける。其れはまるで、恒久的だ、半永久だ。私とは、全くと言って良いほど、格も違う。私の此の鵬翼は、星も無い暗い夜空の様に光と言う希望も無い、其れも星隠しの叢雲の仕業でも、白夜の仕業でも無い、私と言う一人の翼人の心理の夜空は、何時も空っぽで黒い。
この世界には、有象無象の人間が居る、翼人が居る、獣人が居る、獣半人が居る、馬人が居る、数多の生命体が居る。どれも之も、鐚な価値しかない生命体しか此の世には居ない。私も、ミュハーンも、ユジノーも、皆そうだ、必ずしも産み親が居る。だが、此の世は金、金が無ければ、教育も受けれない、だから、皆、無学文盲。大衆が謳う”普通”は、我ら民衆には、高値で億万長者の様だ。だから、嫌われる、王も貴族も。
だから、皆、革命を望む。革命と聞くと、皆はどう思うだろうか。
でも、此の国の民からすると、革命は神の救済とも言える。
此の国は、貧しい。正確には稼げる奴は稼げるが、差が激しい。国内は広大で、全ての地域で、先端的な技術が供給されるなんて事は無い。今でも中世的な暮らしをしている所も在れば、近代的で先進的な所も在る。此処は、まだマシな方だ、或る程度の技術が整っている。ただ、其れを泰西が見たら、ド田舎と揶揄するだろう。何回か、泰西を行った事が有る。
その光景は、初めて空想小説を読んだ時の圧巻な雰囲気、神秘的な感覚に近しい物で心から驚いた。
ただ、其処で見た物が全て良い物では無かった。凛々しい建物の狭間、汚れた家無き物達に浮浪者が、壁に背を当て、天を拝んでいる、その姿。其れは、私の幼少期にも見えた。私の幼少期は、良くも悪くも過酷であった。母は見た目のせいで、陰湿な悪戯に遭い、父は、懸命に働くが、其れでも家族3人、十分に養えるほどでは無かった。点々とスモヴェンスク地方の各地を移住しながら暮らす、遊牧民みたいな暮らしをした。だから、月の収入も沼の地面の様に不安定で、ミュハーンの様に其れこそ、一日、1食か2食の時も在った、時に農奴、時に林業師、時に食料加工の職を転々として暮らす。そんな生活を送れば、誰もが可笑しな精神に成る。だから、私は平等を支持する社会主義に傾倒した。
其れは私も例に入る。今もこうやって、輝く宝石達の前で、変な回想と思考を巡らしている。もう少し、現実に向き合ってみよう、今は華やかで美しい、宝石の夜が流れているのだから...
「あぁ~あ、彗星も夜海に浮かぶ宝石の様に、”価値”の在る者に成らないかな...いいや、私には十分に価値は有る筈だ。翼人には翼が有る、空へ舞える、自由なんだ。私は、何にも囚われない自由の禽なんだ。...(そうだ。私は、別に貧しくない、乏しくも落ちこぼれでも無い、才能等要らない。要るのは、此の不平等で不自由な世の中に耐え生き残る、精神力に生命力だけだ。何も困る事では無い、私は此の一秒一秒生きている、素晴らしいじゃないか、上出来じゃないか)」
そう思うと、何だか気持ちが良くなってきた。
帽子を馬車の方へ置き、黒い鵬翼を広げ、大きく羽搏く。
同時に、天高くまで、飛び往く、私に当たる強風も月光に照らされる白雲も全て、心地よい。
そして...
「...何て美しいんだ」
目の前には、満開の野原の花畑の様に咲き輝く星々が広がっている。
亦、色々な星々からの光が一本の線に成って、私に近づく、身体に翼、色染めの様に、染み渡る。
其れは私に力をくれるかの様に、心にドクドクと何かが伝って来る。
(何だろうな...この感覚は...?不思議だ...)
風の激しい金切り音が響き弱り、地に着く。夜は一行に明けていない、まだまだだ。
しかし、私はもう眠いし、そろそろ、眠るとするか...
馬車へ近づき、凭れ掛かるかの様に、目を閉じ、腕を組み、眠りに着く。
(さぁて、私も寝ますか...)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続




